短編の間

重なる時

「あれ、先輩来てくれてたんですか?」
「まあね。お前さ、遅かったな。出発前2、3日で戻るって言ってただろう。」
「いや、ちょっと手間取りまして。」
「そうか・・・。ま、いい。あのさ、しよう。」
テンゾウの装具を解く手が止まる。
「はあ?今何て?」
「だからしようって。何度も言わせるなよ。」

「しようって、しようって、あの、あのことですよね。」
「だから、何度も聞くな!するのかしないのか。」
テンゾウは驚くと同時に慌てる。

「し、したい。したいですけど、でも今から?ゆ、夕食とか食べてからでも・・・。」
「今しないんだったら、もういいよ。」
「いや、あの今お願いします。でも、シャワーだけ。任務から帰ったばかりだから。」
テンゾウは慌てて装具を外しながら、シャワー室に飛び込む。

大急ぎで身体を洗いながら、普段は淡白なカカシが
積極的な事に疑問が湧く。
「幻術かけられたとか?」
一瞬考えたがすぐにそれはないと否定する。戦闘中ではないのだ。
まさか木の葉の里内で幻術とかはないだろう。というか
里内で、カカシに幻術をかけられる忍はそうそういない。
火影なら可能だろうが、カカシに幻術をかける理由がない。
「第一、淫乱になる幻術なんて・・・いや、あったらいいなと思うけど・・・。」

普段はガードが高いカカシが乱れるところをつい想像して
テンゾウはすでに身体が熱くなる。
シャワーを出ると、すぐにカカシが口づけを求めて来た。

「ん・・・・・。」
テンゾウもカカシの乱れる想像ですでに気持ちは高ぶっていたので
カカシの口づけに答え、すぐに舌を絡ませる。
もつれるようにベッドになだれ込み、カカシの服を脱がせる。
カカシからもシャンプーの香りがした。
「先輩も、シャワー浴びてたんですね。」
「お前が帰ってこないから、何度も浴びて乾燥してきたよ・・・ああ・・・。」

テンゾウがカカシの敏感な胸の突起を弄る。
「どうしたんですか・・・?先輩・・・。」
「あ・・・そんなところで喋るなよくすぐったい。」
首筋を舌で愛撫しながら、テンゾウは更に聞く。

「先輩、普段はあんまりしたがらないのに、今日はどうして・・・?」
「それは・・・ああ・・・テンゾウ、もういいから入れて。」
「でも、まだ先輩の身体が・・・。ゆっくりしないと、辛いでしょう。」
「いいから・・・早く・・・。入れろ。」
正直、テンゾウは充分限界に達している。
でも、受け入れるカカシの身体は解けきっていない。

「早く・・・テンゾウ・・・。」
カカシの声にテンゾウは行動に出る。

「ああ・・・。」
カカシは微かな悲鳴を上げテンゾウを受け入れた。
銀の髪が振り乱れ、身体が仰け反る。

テンゾウはカカシの奥を貫き、揺さぶりあげる。
何度も動作を繰り返し、テンゾウは奥に白濁を放つ。

カカシは、少し息を整えるとよろめきながらもすぐに起きあがった。
「先輩?」
カカシの性急さにテンゾウがまた驚く。
「シャワー浴びてくる。俺今から任務なの。急に予定が入って・・・。」
「ええ?だったらそんなに無理しなくても・・・任務終わってからでもよかったんじゃあ・・・。」
テンゾウが呟いてる間にカカシはシャワーへ消えた。

カカシがさっと湯を浴びて出て来て、すぐに忍服を着だす。
「先輩。お茶飲むくらいは・・・。」
「駄目。時間ない。」

カカシはどんどん装具をつけ、玄関へ向かう。
かごむ時、少し辛そうな表情をする。

「大丈夫ですか?そんな無理しなくても・・・
任務帰りでも良かったのに。もちろん会いに来てくれたのは嬉しいですけど・・・。」
テンゾウが慌てて身体を支える。カカシは振りかえり、テンゾウを見つめた。

「今日、逢いたかったから。」

そう言うと、カカシはすぐに玄関を出た。
テンゾウは一人部屋に残される。

逢いたかった・・・。なんて嬉しい言葉。でもなんで今日?
テンゾウがふと、奥のソファの前のテーブルに
見慣れぬ包みを見つける。怪しい気配はなく
テンゾウが開けると、真新しいクナイのセットが入っていた。

はっとカレンダーを見る。
8月10日。自分の誕生日。

ああ・・・そうか。カカシは待っててくれたのだ。誕生日の祝いを持って。
でも、自分の帰還が遅れ、そしてカカシにも任務が入った。
束の間、本当に僅かしか重なる時がない。
その僅かな逢瀬の時間に、自分の身体が辛いのを我慢して
その身を預けてくれたのだろう。

「実用性ないプレゼントだな・・・。」

テンゾウはカカシのくれたクナイのセットを見つめて苦笑する。
こんな大切なもの、カカシからもらった大切なもの
敵に投げられるわけがないのだから。

                                 終