綾なす想い
Chapter23
カカシをベッドの端に座らせ、オビトはすぐにその
背に片手を回し、もう一方の手でカカシの頬を包み唇
を寄せる。
『結婚しよう、カカシ』
本当はオビトからのプロポーズへの返事は一つしか
ない。
ずっとずっと想いつづけていたのだ。理不尽に身体
を要求されている時でさえ。
突然のことに戸惑っても心は決まっている。
啄むようなキスから、口内を貪るキスへと移行する。
ひとしきり口づけあうと、互いにパジャマを脱ぎ、
再び口づけあう。そのままオビトがカカシに覆いかぶ
さるように二つの身体はベッドの上に倒れこむ。
オビトは何度も口づけを仕掛けた。カカシの舌を絡
め取り、角度を変えて口内を貪る。
やがて首筋に唇を這わせ、昂ぶった気持ちのままそ
の白肌に痕を残していく。耳朶を甘噛みすると、カカ
シの口から小さな吐息が漏れた。
その間にもオビトの手はカカシの乳首を捉えて指の
腹で愛撫を与える。時折摘まみあげぎゅっと押さえる
と、背中に回しているカカシの手に力が入るのがわか
る。
オビトは身体をずらして移動させ、唇も乳首への愛
撫に切り替えた。片方は指で乳輪ごと摘み上げたり突
起部分を撫でたりしながら、もう片方に舌先で柔らか
な刺激を施す。唇で吸い上げると、カカシが吐息を漏
らす。
「うっ・・・ん・・・」
休みなく行われる両方の乳首への刺激に呼応して、
カカシの息も荒くなってくる。
カカシが感じていることで、オビトの熱情は一層激
しさを増す。
「カカシ・・・」
好きだという言葉を繋げる前に、カカシの肌に唇を
寄せる。
日本にいて共に暮らした三週間もカカシを抱いてい
た。ただ、あの時は感情がむき出しになってしまわな
いように、鉄の仮面を被り続けていた。
会社合併、従業員全雇用の費用負担分をカカシに払
わせているだけだと、そんなポーズを崩さなかった。
自分の会社が軌道に乗り、結果的に窮地に陥ったカ
カシを助けたい。
その手段としてカカシの身体を要求したのは全くの
私情。告白することなく離れる気でいたカカシとの思
い出を作りたくなった。
嫌われてもけなされても、自分の人生に、カカシと
過ごした日々を刻みつけたかったのだ。
でも苦しかった。カカシを愛しく思うのに、それを
悟られないように辛辣な言葉を使い、カカシの心を傷
つけて・・・。
「は・・・・ああ・・・・」
オビトの愛撫にカカシが反応する。そうすることで
またオビトの熱も上がる。
愛してるとその想いを堂々と言葉や態度で示せる関
係はこんなにも心が満たされるのか。
カカシの両足を広げる。中心を梳きながら、今はま
だ硬く閉じている蕾を撫ぜていく。
襞の一つ一つに塗りこむようにローションをつけ、
傷つけないようゆっくりと指を入れて溶かしていく。
「ああっ・・・」
三週間の日々で気づいたカカシのいいところをすり
あげる。
「や、あ・・・ああ・・・」
「・・・いい声・・・」
カカシの中を指で擦りあげながら、オビトが囁く。
カカシはオビトの真意がわからずに戸惑いながらマ
ンションで抱かれていた時と違い、施される愛撫を満
たされた気持ちで受け入れていた。
さすがに声を出すのは気恥しいが、自分自身以上に
この身体を知るオビトに引き出される快感に、抑えが
きかない。
「あっ・・・オビト・・・もうやめ・・・」
内部から炙り出される快感に翻弄される。
充分に入り口を蕩けさせ、やがてオビトは自身をカ
カシの身体の中へと沈めた。
「う・・・ああっ・・・」
傷つけないよう慎重に、最奥へと進んでいく。背中
に回しているカカシの指がオビトの皮膚に食い込む。
溶かしてはいても、指とは違う質量に耐えているのが
わかる。
愛しくて仕方ない。
やがてカカシと最奥で繋がり、オビトは再び口づけ
る。
同じ性を持つ身体同士、生殖機能と無縁の関係なの
に、どうしてこうもぴたりと合わさるのだろう。
ゆっくりと動きを加える。
「あ・・・あ・・・」
さらに動きは加速していく。
「カカシ・・・」
突き上げるたびに切なげに悶えるカカシに一層欲情
が引き出される。
互いが相手のために存在したかのように合わさる身
体。惹かれあう心。
回り道をしたけれど、こうして今同じ時を過ごして
いることに感謝する。
繋がりあう身体と心は高みへとつき進む。
「ん・・・・あっ・・・」
そうだよな、リン・・・。
オビトは感じる。
再び出会えたのは共に愛した少女がいたから。彼女
が引き合わせてくれた。
「ああっ・・・あう・・・」
打ち付ける動きに、身体が自然と跳ねる。本来の機
能と違い、開かされた時の痛みは鋭く襲う。同時に一
番感じるところを擦りあげられる快感ももたらされる。
何より、オビトが自分の中で感じているという事実
が、カカシを陶酔させていく。
オビトへの想い。それは自分の中で一生口にするこ
とはないと思っていた秘め事。それなのに、リンには
見透かされていた。
自分を好きだと言ってくれていた少女が、二人の手
を繋げてくれたような気がする。
リン、俺も大好きだ。
ありがとう・・・リン。
互いに限界を迎えたその時、カカシの奥に身体中の
熱を放散し、オビトはカカシの横に倒れこんだ。
「はあ・・・はあ・・・オビト・・・」
「はあ、はあ・・・何?・・・」
荒い息で見つめあう。
「リンの墓参り・・・今度こそ一緒に行こう。俺たち
のこと、きっと・・・リンが・・・」
言葉にうまく表せない。
オビトはカカシの言葉への返事代わりに再びその身
体に覆いかぶさり口づけをする。
きっとリンが引き合わせてくれた。そうだよな、カ
カシ・・・。
リンが引き合わせて、俺達を見守ってくれている。
オビトは心で誓う。
俺はもうカカシを離さない。
たくさんの回り道をしたけれど、これからはどこま
でも、いつまでも二人で歩んでいくから。
リン、見ていてくれ。
そして、ありがとう。
Chapter24 終わり