[PR]国指定重要無形民俗文化財 IgERAST

宴の庭荘

 

 

IgERAST>その1

 

 

「先生、木ノ葉丸君のアレルギー反応の結果出てます

よ」

 

 日向看護師が、カカシにアトピー性皮膚炎様湿疹が

出た担当患者の血液検査の結果が出ていることを伝え

る。

 

「ああ、ありがとう」

 

 担当患者の電子カルテを開き、カカシはIgERAST

の項目を確認していく。

 

「うーん・・・やっぱりイヌの毛とハウスダストに反

応ありかあ・・・。犬と離れてって言ったら、木ノ葉

丸君、泣くだろうなあ・・・」

 

「そうですね。愛犬を随分可愛がってるって話でした

よね」

 

「うん・・・でもこんなに抗体価が高いと一旦は離れ

てもらうしか仕方ないな。まずお母さんに説明して、

お祖母ちゃんとかの親戚の家に引き取ってもらえない

か、今後の事を話そう」

 

 

 

 

「それで、木の葉丸君は納得したのかい?」

 

「いえ、とてもとても・・・・う・・・・また日をあ

らためて話しを・・・あっ・・・先生・・・」

 

 その夜、カカシはミナト教授が仕事用として自宅と

は別に持っているマンションのベッドの上にいた。

 

 ミナトがベッドヘッドに枕を二つ重ねてもたれ、前

にカカシを座らせている。後ろから手を伸ばし、カカ

シの両乳首に触れながら、至極冷静な声音で話す。

 

 乳首を優しく指の腹で撫でられていたかと思うと、

不意にギュッときつく掴まれてカカシは時折小さな呻

きを発する。

ミナトはしっかりとパジャマを着込んでいるのに、

カカシは着ることを許されず、シャワー後そのまま全

裸でいる。

 身体の隅々まで知られている仲とはいえ、部屋の電

気も消していない中で、一人だけ全裸という姿が羞恥

心を呼び覚ます。

 

「アトピー症状の方はどうなの?」

 

「あ・・・少しずつはよく・・あっああ・・・」

 

 ミナトが両乳首を乳輪ごと親指と人差し指で挟み込

み、ギュッとネジ巻きのように強く捻った。カカシは

悲鳴に近い嬌声をあげる。

 

「良くなってるの?」

 

 まるで医局の中にいるように真面目に質問をしなが

ら、ミナトはカカシの乳首を先程とは反対方向に捻

った。

 

「良くなってま・・・あっあっ・・・」

 

 カカシが必死に返事しようとしていると、乳首を捻

ったまま耳朶を甘噛みされる。

 

 

 少し前、担当患者を助けられなかった焦燥感から抜

け出せなかった時、ミナトに抱かれた。

それからは誘われるままに時折身体を重ねている。

 

ミナトには家族が、カカシにはテンゾウという同じ

病院の整形外科医の恋人がいる。互いにそのことは知

りながら、こうして背徳の時間を過ごす。

 

 テンゾウと別れる気など微塵もない。それなのに、

尊敬し心から信頼するミナトから見つめられると、涼

やかな声で囁かれると心も身体も捉えられ、身動きで

きなくなる。されるがままに、望まれるがままに、彼

にこの身を捧げてしまう。

 それはテンゾウとの関係とはまた違う種類のものだ。

 

 テンゾウに対しては、常に主導権はカカシにある。

時折カカシは縛られ、鞭打たれる。しかしそれはカカ

シが仕向けているのだ。

 禁断の果実を木からもぎ取り差し出すのはカカシ。

テンゾウは逆らうことが出来ずに手を伸ばしているに

過ぎない。

 

 あれもこれもと欲張るのは罪なのだろうか。この身

体が欲するままに、尊敬する師に抱かれ、愛する恋人

に嫉妬の炎で焼けるほどに、失神するほどに責められ

たいと思うのは、それは罪なのだろうか・・・。

 

 

いつの間にか四つん這いの姿勢を取らされ、ミナト

の指がカカシの秘所を押し広げ行き来している。

 

「ひくついているよ」

 

「先生のせい・・・」

 

 ミナトがパジャマを脱ぎ去り、カカシの中に侵入す

る。いきなり奥まで突き上げられ、カカシはその背を

反らす。

 

「ああ・・・」

 

「これは彼がつけたの?」

 

「あん・・・な・・・何ですか・・・?」

 

 カカシの中を行き来していたミナトが動きをやめて、

その背を指でなぞる。

 

「線が幾筋も残っているよ。消えかかっているけど」

 

「あ、それは・・・」

 

 一昨日のテンゾウとのセックスの時に鞭打たれた痕

がまだ残っていたのだとカカシは思う。その時もテン

ゾウは乗り気でないのに、カカシが仕向けたのだ。

 

「随分悪い遊びを覚えているようだね、カカシ」

 

 そう言うとミナトはカカシの両手を後ろへ揃えさせ、

その手首を自身が脱いだパジャマで縛った。

 

「先生・・・」

 

 支えるべき手を後ろに回されたカカシは、顔をベッ

ドにつけて、腰だけを高くあげる姿勢を取らざるを得

ない。

 

「お前とそんな遊びをしている彼に、妬けるね」

 

「先生・・・・あ、ああ・・・」

 

 ミナトがまた激しく行き来を始める。両腕は自由に

ならず、腰はしっかりとミナトに掴まれて、カカシは

ただ、中を打ち付ける楔に耐えるしかない。

 

「ああ・・・あっあっあんっ・・・・」

 

 ギリギリまで引き抜き、思い切り深く挿入する。乳

首を摘まれ捻られる。首筋に噛み付き、耳朶を舐める。

繰り返される動きに抑えられぬ嬌声は過呼吸を呼び起

こし、アルカローシスになった血中酸素濃度のせいで

眩暈がする。

 

 失神寸前で、カカシはようやく解放された。

 

 

宴の庭荘   その2