目が覚めると、もう昼を回っていた。いつもの事ながら、ちょっと寝すぎたかなあと思う。
「いて・・・。」
起きる時、身体が少し辛い。
中々慣れない。どうしても力が入ってしまって・・・。
カカシを辛くさせた張本人は、ソファで、本を読んでいた。
「先輩、やっと起きましたか。休暇の最終日なのに、半日過ぎちゃいましたよ。」
言葉にトゲがある。まあ、仕方ないか。
誕生日に、色々考えていてくれたようなのに、ことごとく、予定は崩れていた。
「ご飯できてますよ。もう、朝飯じゃないですけど。」
「うん、ありがとね。」
ちょっと、悪いなあと思いながら、洗面所へ向かった。
「うわ!」
「先輩、どうしました?」
前言撤回、悪くなんかない!悪いのはテンゾウだ!
「テンゾウ、首とか目立つ所は嫌だって言っただろう!」
「あはは。いいじゃないですか。口布したら見えませんよ。」
カカシの白い肌に残るテンゾウがつけた痕は、一つ二つではなかった。
「今日は、オフだから、Tシャツ着るつもりなのに。」
「今日はもう外へは行きませんよ。」
「そうなの?」
「ええ、これ以上あなたを誰かに取られるのは嫌なので、今日は一日僕の部屋でいてもらいます。」
朝兼用の昼ごはんを食べ終えると、テンゾウが言った。
「早速ですけど、夕食用の買物して来ます。先輩、待ってて下さいね。」
「ほんとに俺、留守番?」
「そう、留守番。予定では14日に先輩に食べて貰うはずだった料理です。結構、研究したんですから。」
すぐ帰ると言ってテンゾウは買物に出て行った。
1人になって、イチャパラを読み始める。
テンゾウの部屋にはいつの間にか、カカシのものがたくさんある。
イチャパラ、着替え、歯磨き・・・。
カカシの部屋にもテンゾウのものが当たり前のようにある。
どうしてこうなったのだろう。大切な人をたくさん失って、
もう誰かに特別想いを寄せるのは避けてきたのに。
差し出された手を振りほどく事が出来なかった。
自分に向けられる、あの笑顔をもっと見たいと思った。
カカシはイチャパラを離し、テンゾウの臭いの残るクッションを抱えた。
両腕でクッションを抱えると、テンゾウに抱かれているような気がする。
カカシはいつの間にか眠ってしまい、目覚めると、テンゾウはまだいなかった。
幾らなんでも遅くない?2時間は過ぎている。
里内だから、身に危険というのは考えにくい。
ここは暗部寮だけど、静かで、式も飛んでいない。
そういった面のトラブルではないとすれば、
一昨日や昨日の自分のように、誰かに会って話してるとか・・・。
でも、俺待ってるのに。例えば別れた彼女とかに『相談にのって欲しい事があるの』とか何とか言われたら、
優しいテンゾウは断れないのかも。でも、俺待ってるのに・・・。
その時、がチャと、ドアの鍵が開く音がした。