[PR]川越氷川祭 綾なす想い

 

 

螺旋の庭荘

 

 

Chapter11

 

 

カカシはオビトの言うままに、翌日も同じ時間にマ

ンションを訪れた。オビトは中に招き入れる。

 

「今取り掛かってる新作ゲームに手を取られている」

 

 オビトが口を開いた。

 

「うん」

 

「今日はもういい」

 

「え?」

 

「帰っていい」

 

「はあ?」

 

「お前も今日は家でゆっくり・・・」

 

「おい、オビト!」

 

「何だ?」

 

 ずっとオビトの言うがままに行動してきたカカシに

も、着いたばかりで帰れと言われて怒りが沸き起こる。

 

「だったら俺が家を出る前の時間に電話してきてもい

いだろ。今日は来なくていいって。着いた途端に帰れ

とはいくらなんでもかってすぎる!」

 

 カカシの剣幕にオビトはしばし沈黙する。

 

「・・・それもそうだな」

 

 オビトはやがてゆっくりと口を開いた。

 

「悪かった。俺はお前が辛いかと・・・いや、そう、

じゃあお前、ここに泊まれよ」

 

「泊まる?」

 

 カカシは先ほどの勢いを削がれて聞き返す。

 

「ゲーム作成の仕事は、自分でコントロール出来ない

調子の波に左右されてサウサク進む時とそうでない時

があるから、時間配分をきめられない。でも一ヶ月だ

け、お前が俺の言うとおりになるという合併の条件も

守ってもらいたい。だからさ、お前がここにいればい

い」

 

「ここにいて、お前の都合がいい時にリンの代わりに

なれってことか」

 

「まあそうだ」

 

 

 普通に考えればそもそもの条件の奇妙さを別にして

も、理不尽な申し出だと思う。オビトの都合のいい時

に抱かれるためにここにいろと言われているのだ。そ

れでも・・・とカカシは思う。

合併を自分のプライドだけで反古にするわけにはい

かない。

そして何より、理不尽な申し出への怒りより、オビ

トを愛しく思う恋心が自分を覆う。

 

 封印したはずの想いが溢れる。

 

 オビトが好きだ。

 

 例えリンの代わりでも、それでも・・・。構わない。

 

 

 

 

 結局、カカシはその案を受け入れた。

 

 ひと月ほどでも家を空けるとなると、冷蔵庫の中身

を処分したり、新聞を止めたりとそれなりに段取りが

いる。カカシが身の回りのものを持ってまたオビトの

マンションに戻った時にはもう夜遅かった。

 

 オビトはキッチンにいた。

 

「カカシ、もう少しで出来るから、座って待ってろ」

 

「お前、料理なんかするの?」

 

「一人暮らしなんだからそりゃするよ。お前だって多

少はするだろ?」

 

「ほんとに多少だよ。仕事の関係もあるけど、外食も

多いし」

 

 キッチンには既に盛り付けられた魚料理やサラダな

ど置いてあり、更に鍋には何やら煮込み料理が入って

るらしく、オビトが蓋を開けて味見をしている。

 

「手の込んだ料理なんかしないよ」

 

 カカシはそれらを眺めながら言う。

 

「俺はお前と違ってずっと家でパソコン相手の仕事だ

からな。料理は一種の気分転換」

 

 カカシの知ってるオビトは一瞬もじっとしていない

ような外で走り回るこどもだった。

 

「変わるもんだな。部屋も綺麗で、最初誰か彼女でも

一緒に住んでいるのかと思ったけど」

 

 オビトはカカシの方を振り返る。

 

「変化は成長ってことだよ。でも基本的な考え方とか

は、人間そんなに変わったりはしないけどな」

 

 リンへの恋心を言っているのだろうかとカカシは思

う。自分のオビトへの気持ちが、今も変わらないよう

に。

 

 

 オビトが料理をテーブルに運び出したので声をかけ

る。

 

「手伝うよ」

 

 立ち上がりかけたカカシをオビトが制した。

 

「いい。家事をしてもらうのは条件じゃない」

 

 常識外の条件を突きつけてきた割には、変に律儀な

オビトにおかしさがこみ上げる。カカシが少し笑うと

オビトが怪訝な表情を浮かべた。

 

「何?」

 

「いや、妙に律儀だから」

 

「・・・お前は会社の為に有り得ない条件をのんだん

だろ。それ以上の負担を味わうことはない」

 

 オビトに抱かれるという、まるで考えられなかった

出来事に遭遇している。しかしこれは自分にとって負

担なのだろうか・・・。

 カカシは一概には答えを出せない自問を振り払うよ

うにオビトの作った料理を一口食べた。

 

「おいしい!」

 

 幼い時の何事にも雑なオビトの記憶がどうしても強

いカカシは、さして期待してなかった料理が美味しく

て、素直に驚く。

 

「そうか」

 

 今度はオビトが嬉しそうに笑った。

 

 再会して初めての笑顔かもしれないとカカシはその

表情を見つめながら思う。

 オビトは一体何を考えているのだろう。リンを守れ

なかった自分を貶めたいのなら、どうしてこんなもて

なしなどするのか・・・。

 

 

 

「カカシ起きてるか?」

 

「うん・・・」

 

 その日の夜、カカシがシャワーを浴びてベッドにい

ると、オビトが入ってきた。

 

 オビトからの口づけを受けながら、カカシは少し緊

張する。昨夜初めて開かされた秘部は、まだ微かな違

和感が拭えない。

 

「あ・・・う・・・」

 

 口づけから全身への愛撫、指で乳首を摘まれながら、

オビトの身体が少し足元へ移動していく。足を左右に

押し広げられ、カカシが受け入れる苦痛を覚悟したと

き、オビトはカカシの中心を口に咥えた。

 

「お・・・オビト・・・」

 

 オビトの手は、カカシの乳首や腰や大腿などへの愛

撫を繰り返している。そしてオビトの口にはカカシの

モノがしっかりと捉えられ、何度も吸い上げを繰り返

し、鈴口を舌で刺激される。

 

「ああ・・・オビト・・・あ・・・やばいから・・・」

 

 このままでは、オビトの口で果ててしまう。カカシ

は焦るが、オビトにしっかりと押さえ込まれ、自ら離

れることは叶わない。

 

 カカシがオビトの髪を掴み引き上げるようにすると、

オビトが一度口を離した。

 

「イキたくなったら出せよ。構わないから」

 

「そ・・・そんな・・・オビト・・・」

 

 オビトはカカシのモノを刺激する行動に戻る。

 

「あっ・・・ああ、オビト・・・もう・・・・うっ・・・」

 

 結局カカシはオビトの口の中で果てた。

 

「はあ・・・・はあ・・・だから・・・言ったのに・・・」

 

 申し訳なさと、若干の苛立ちを込めてカカシが言う

と、オビトはティッシュで口を拭いながら言った。

 

「毎日はお前が辛いだろ。今日はこれでいい」

 

「え?でもお前は・・・」

 

 今の行為はカカシが一方的に快感を味わっただけだ。

 

「・・・お前は男のものなんか銜えられないだろ」

 

「オビト・・・」

 

「俺はまだ少し仕事するから。お前は寝とけ」

 

 オビトはそう言うと寝室から出て行く。

 

カカシは絶頂を迎えた後の気怠さでベッドに横にな

ったまま、不可解な行動を繰り返すオビトの背中を見

つめていた。

 

 

 

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