綾なす想い
Chapter7(野原リンの日記)
9月13日
明後日はカカシの誕生日。
明日はクッキー作るんだ。
カカシは甘いものが苦手だけど、ビターチョコとか、
コーヒー味のクッキーなら、きっと大丈夫。
プレゼントのメインは、ママと一緒に選んだナイキの
傘。
カカシは多少の雨なら平気で濡れて帰っちゃう。
運動神経抜群の割に身体弱くてよく熱出したりするけ
ど、ああいう無頓着な所がよくないんだ、きっと。
私からプレゼントしたら、ちゃんと傘持ってくれるよ
ね。
9月15日
今日はカカシの誕生日だけど・・・。
こんな苦しい気持ちになるとは思ってもみなかった。
真実に目を向けるのは辛いけど、悲しいけど、でもこ
れは私だけの日記だから、正直に書こう。
昨日作ったクッキーをどうしても早く食べてほしくて
カカシを昼休みに屋上へ呼び出した。
カカシは喜んでくれた。自分でも上出来と思うカフェ
クッキーは、特に美味しいと言ってくれた。
でもその時、ちょうど昼の1時に来たメール画面をカ
カシが見たときの笑顔は、私のクッキーを見たときよ
り何十倍も嬉しそうだった。
いつもクールで何考えてんだか判らないカカシが、抑
えきれない嬉しさで画面を見つめている。
「どうしたの?」
って聞いた。
「オビトからのバースディメール。あいつ毎年0時丁
度に送った、俺が一番乗りだろなんて、自慢げなメー
ル寄越すけど、時差を考えてないんだよな。こっちは
もう15日の13時なのに」
そう言いながら、カカシは画面をずっと見つめていた。
手に持つ私のクッキーなんか忘れたみたいに。
突然判った。
カカシが好きな人ってオビトなんだ。
どうして今までわからなかったんだろう。カカシはい
つだってオビトのことばかり話していたのに。
今はサマータイムだからあっちは夜の10時だなとか、
クリスマス休暇が始まる日だけど、オビトは今年も帰
ってこないだとか・・・。
いつもオビトは、オビトはって・・・。
私が無意識に考えないようにしていたのかもしれない。
カカシが好きで、振り向いて欲しくて、いつかこの気
持ちが叶うかもって信じたかった。
カカシは誰に告白されてもOKしなくて、だから希望
を持っていた。
カカシが好きな人、よく考えたら判るのに、都合の悪
いことには目を向けないようにしてきたんだ、私。
でももうここまではっきりわかったら、知らない振り
は出来ない。
悲しいけど、これが真実。
カカシはオビトが好き。