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綾なす想い
Chapter6
翌日朝9時。カカシはオビトのマンションのオート
ロックの玄関前に立っていた。
昨日オビトから、大人になれば告白するはずだった
リンの代わりになれと言われ、それが会社合併の条件
だと言われた。断る選択肢なんて存在しないと同じこ
と。会社の部下や幹部達すべての仲間の未来を封じる
わけにはいかない。
オビトの部屋番号を押す。
「・・・・入れ」
やや間があって、インターホンに出たオビトは、や
はりやや間を置いて、カカシに入るように言った。
エレベーターで最上階へ、オビトの部屋の前で再び
インターホンを押す。
昨日はオビトに再会出来るという期待と、長らく連
絡を絶っていたのに何故という戸惑い両方の気持ちで
ここに立った。
しかし今日はこの気持ちをどう表現していいのかわ
からない。
玄関扉が開かれる。
オビトが、頭からバスタオルを被り、ラフな部屋着
を着て現れる。いかにもシャワー後というような・・・。
カカシは思う。本当に今からセックスをする気なの
だと。この朝の時間から。
「スーツなんか着なくていいと言ったのに」
カカシの姿を見てオビトが呆れた声を出す。
「仕事だから」
カカシは努めて冷静さを保つように、声のトーンを
低くして答える。
「どうせ脱ぐのに」
オビトの言葉にカカシは顔を上げて見つめ返す。そ
こには何を考えているのかわからない無表情なオビト
がいた。
「どうしたらいい?ベッドルームに行けばいいのか」
「シャワー浴びて来い。汗臭い男なんかゴメンだ」
オビトが廊下の先を指差した。
「タオルは棚にあるものどれでも使っていい。スーツ
なんか着られたら面倒だから、着替えは俺の部屋着を
置いておく。それ着て出てこい」
カカシがシャワーを浴び終わると、脱衣室のカゴに
新しい下着と部屋着が置いてあった。それを着てカカ
シがリビングに向かうと、オビトの姿はなかった。
「カカシ」
声の方を振り向くとドアが空いている部屋があり、
そこへ向かう。
部屋の中はキングサイズのベッドが中央に置かれて
いた。
レースのカーテンは閉められているが、遮光カーテ
ンの方は開かれている。
9時を過ぎたばかりの穏やかな朝日で照らされた明
るい室内は、今から行われようとしている行為とは乖
離しすぎていて、カカシは軽く目眩を覚える。
オビトはベッドの真ん中であぐらをかいて座ってい
た。
「豪勢だな・・・」
「何が?」
「ベッド」
「ああ・・・俺は寝相が悪いから。まあそこそこの値
段はしたな」
「さすがに今をときめく会社の副社長ということか」
「そうだ。今はもうお前に負けてない」
「俺はお前との間で勝ち負けなんか考えた事ないよ」
「それは優位に立っている側の余裕さ。俺はいつもお
前と対等になりたいと思っていた」
リンのことかとカカシは思う。リンは確かに自分を
好きでいてくれたから・・・。オビトはリンが好きで、
だから自分が憎いのだとカカシは思う。だから・・・。
「来いよ」
オビトが呼ぶ。
カカシはゆっくりとベッドに近づき、そしてベッド
の真ん中にいるオビトに背を向ける形で端に座った。
「脱げ」
だから、オビトは自分を貶めたいのだ。それほど許
せないのだ・・・。
カカシは呼吸が苦しくなるような心の圧迫感と戦い
ながら、言われるままに上の服を脱いだ。ズボンのウ
エストに手をかけたところで、一度小さく息を吐く。
そして目を閉じて下着ごと足元まで下げる。
全裸になったのに、オビトは動かない。
カカシは羞恥で居た堪れなくなる。明るい室内で、
一人全裸でいる。背中のオビトの視線が気になる。
「白いな・・・」
「え?」
オビトが何を言ったのか判らず、カカシは思わず振
り返った。
「元はそんなに色白だったのか。ガキの頃もっと黒か
った記憶があるけど、あれは日焼けか」
オビトに見つめられている。何もかも映し出す室内
の明るさが辛い。
「こっちへ来い」
カカシは絶望にも似た気持ちでキングサイズのベッ
ドの上をオビトの近くまで前進する。
オビトの前で止まる。
腕を伸ばし、オビトがカカシの肩に手を置く。そし
て一方の手は背中に回されて、気がついたらベッドに
横たえられていた。
乱暴な言葉を投げかけられていた割にその行為は丁
寧で、カカシは意外に思う。
真上にオビトの顔がある。懐かしい幼い頃の面影を
残したオビトが、本当に自分を今から抱くのだろうか。
会社と引き換えに、身体を差し出す自分を蔑んで、見
つめているのだろうか。
ああ・・・部屋の明るさが辛い。
「オビト・・・カーテンをしてくれないか」
オビトが口の端だけで笑う。
「何をバージンの女みたいなこと言ってる」
カカシがオビトの言葉に対し反論する前に、その唇
は塞がれる。しっとりと重ねられた唇から、やがて舌
がカカシの口内に入って来る。
オビトの舌は最初遠慮がちに先端を絡めていたが、
段々と大胆に縦横無人にカカシの口内を動きはじめる。
乱暴さはかけらもなく、時折唇を離しカカシの呼吸に
も気を使っているようだった。
優しくリードしてくれるその口づけに、カカシは明
るい室内で一人全裸にされている気恥ずかしさが彼方
へ遠のく。
オビトが口づけを施したまま、カカシの胸の突起に
手を伸ばす。
「あ・・・ん・・・」
優しく撫でるように摘まれて、カカシの身体が小さ
く反応する。オビトは器用に反対の乳首にも刺激を与
えていく。首筋から耳、鎖骨から胸へとオビトの唇は
移動し、手はカカシの身体の中心へと伸ばされる。
「あ・・・ああ・・・」
やわやわと袋を掴まれ、更に竿を梳き始められると、
カカシが必死に堪えていた声が漏れてしまう。
オビトがカカシの両足を折り曲げて、大腿の裏側に
も唇を這わす。手で梳き上げながら行われるその愛撫
に、カカシの身体は反応し先走りさえ溢れ始める。
どうして・・・・?
オビトの愛撫はどこまでも優しく、カカシの快感を
引き出すことに集中している。
カカシが断れない状況を作り、プライドを崩すよう
に乱暴な言葉を投げかけ、それでいて優しい手つきで
柔らかな口づけで愛撫を施すオビトの行動を不思議に
思う。
そしてなにより、女性のようにベッドに横たわり、
男から愛撫されるという事態を受け入れている自身に
戸惑い、混乱する。
追い詰められた絶望の感情や気恥かしさは何処かへ
飛び、この身を委ねてしまっている。
どうして・・・?
どうしてオビトは優しく接してくれるのだろう・・・。
どうして自分は嫌悪感を持たないでいるのだろう
か・・・。