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宴の庭荘

 

 

BNP>その1

 

 

「あっ、ああ・・・」

 

「まだ駄目だよ」

 

カカシはうつ伏せになり、臀部だけを高く上げ脚を

広げさせられた恥辱的な姿でシーツを握り締めていた。

容赦ない突き上げに果てそうになる前に動きを止めら

れ、身悶えする浅ましさを意識させられた後にまた激

しく突き上げられる。

 

「先生・・・もう・・・いきたい・・・」

 

「まだだ、カカシ」

 

 あられもない声で許しを乞うが、一層厳しく諭され

る。

 

 解放されたいと主張するカカシの中心は、責めるそ

の男、ミナトの手によりきつく握り締められていた。

先端からは抑えきれぬ白濁の情液が溢れて、ミナトの

手を濡らしている。

童顔とも言えるその容姿に比べ脱いだ彼の身体は精

悍そのもので、更にカカシより一回り以上も年上とは

思えぬ力で、激しい突き上げを繰り返す。

 

抑えられぬ喘ぎで軽い過換気に状態となり、カカシ

の意識が朦朧とする頃にようやくミナトは最後の動き

を仕掛けて、強く押さえ込んでいたカカシの中心も解

放する。

 

「ああ・・・・・っ」

 

 敏感な部分を擦り上げるように何往復もした後に、

より深いところへ注ぎ込まれるミナトの熱情。カカシ

もほぼ同時に放出し、膝立ちでカカシを責めていたミ

ナトと二人同時にベッドへ倒れこんだ。

 

「カカシ・・・大丈夫かい」

 

 ミナトはそれまでの厳しい責めとはまるで違う、小

さい子供を気遣うような優しい声音で、カカシの顔を

覗き込んだ。

 

「・・・はい・・・いえ・・ちょっときつい・・・」

 

 カカシは正直に答える。

 

「・・・そうか、でもまあ、疲れたほうがぐっすり眠

れるよ、カカシ」

 

「はい、先生・・・ありがとうございます」

 

 カカシは自分を思うミナトの優しさに触れ、礼を言

って目を閉じる。ミナトがそのカカシの唇に軽くキス

をして言葉をかけた。

 

「先にシャワー行くよ」

 

「はい」

 

 少しのちシャワーの音が聞こえ出す。カカシはミナ

トにキスされたその姿勢のまま、横たわっていた。摘

み、噛み、抑え潰され様々な愛撫を受けた胸の突起は

ヒリヒリと敏感になっている。腰はだるく、多様な姿

勢を強いられた身体はあちこち軋んでいる。それでも

この疲れはミナトの言うとおり、眠りを引き出してく

れそうだ。

 

 

 小さい時から診ていた患者が僅か15歳で亡くなっ

た。

担当患者の死、それは医療を生業とする者にはどう

しても訪れる試練だ。カカシとて初めてのことではな

いし、多くの難病を扱う大病院であればなおのこと、

助けられぬ命もある。それでも慣れるという事はない。

何度経験しても、辛いものは辛い。

 

 慟哭する家族のそばで、もっと出来る事はなかった

かと自問自答する。ポンプ機能が衰えた心臓は水を溜

め込み、心不全という状態になって患者を苦しめる。

その心不全の指標となるBNPを毎日測り、もう採血は

嫌だと15歳の少女は泣いていた。苦しい息で生まれ変

わったら先生のお嫁さんになりたいと言った少女、リ

ンちゃん。

 

 

 寝台車を見送った後医局でぼうっとしていると、ミ

ナトに声をかけられた。どこかで酒でも飲もうかと。

ミナトはまだカカシが医学部の学生だった時、病院か

ら出向して大学で授業を教えていた。彼の専門の小児

循環器を熱心に語るその姿にその思い入れに感化され、

カカシも同じ道を歩んでいる。

 

 カカシ以上に難治症例を多く経験し、その手術件数

と成功例は神の手とも呼ばれているミナトでも、もち

ろん助けられぬ命はある。

 

食欲もなくホテルのラウンジでつまみを一つ二つ口

にした以外はやりきれなさをアルコールで散らす。同

じ焦燥感を幾多経験してきた師は何も言わずにカカシ

を見つめてくれている。そうして会計を済ませてくる

と言って戻ってきた時には、ホテルの鍵を手にしてい

た。泊まっていこうと言われたとき、カカシに断る選

択はなかった。

 

そう、泊まることが何を意味しているのか明白でも、

そしてテンゾウという恋人がいても、断る事は出来な

かったのだ。包み込むようなミナトのその暖かな存在

を欲していたのは、カカシの方だったから。

 

 

宴の庭荘   その2