Winter
color
10章
「ん・・・」
ローションのおかげか、あっさりと挿入出来た指を
クチュクチュと掻き回すと、カカシがまた恥ずかしそ
うに目を閉じて顔を横に向ける。
カカシの中は思ったより暖かい。指先にコリと当た
る部分があり、それを撫で上げるとカカシの身体がし
なった。
「あっ・・・」
「ここ・・・いいですか」
言いながら何度も擦り上げる。
「あん、あ・・・テ、テンゾウ・・・やめ・・・ああ・・」
カカシは指を入れられているんだと思うと、恥ずか
しさでまともにテンゾウの顔を見ることが出来ない。
ただ耐えていたら、突然に身体が跳ねてしまう程の刺
激に襲われる。
ああ、前立腺を撫でられているのだと気づいたが、
テンゾウが容赦なく次々に刺激を与えてくるので息つ
く暇もない。
先ほど達したばかりというのに、再び射精感に襲わ
れて、やめてほしいと言いたいのに、言葉がうまく紡
げない。
カカシが目を開けてテンゾウを見る。やめてと言い
たいのだろうけど、カカシが言葉を発する前に前立腺
を擦りあげると、抗議の声は甘やかな吐息に変わって
しまう。
可愛い人。
テンゾウはカカシを愛しく思う気持ちが身体中から
沸き起こるのを感じる。
余裕ある素振りを必死にしていたが、本当はとても
緊張していた。
ただ、今はカカシとの時間を大切にし、そしてこの
人を抱きたいと、あらためて思う。
頃合を見計らってテンゾウは指を増やした。
「あっ・・・」
それまでのカカシの甘やかな声に、明らかに違うト
ーンが混じる。かなり慣らしたと思ったけれど、大人
の男の指二本で広げられたらやはり辛いのだろう。
「大丈夫ですか?」
「う・・・うん」
「少し・・・辛いかもしれないけど・・・」
「大丈夫・・・」
カカシが健気でテンゾウは何とか快感を与えようと、
二本の指でカカシの秘所を溶かしながら、折り曲げた
足に愛撫を与え、時折左手を伸ばして乳首を摘む。
「あ・・・あん・・・」
カカシの声はテンゾウの身体の中心に響く。先程か
ら限界を迎えている自身の先端からは既にトロトロと
先走りが滲んでいた。
傷つけたくない一心で緩々と溶かし、抵抗がなくな
ったのを感じてテンゾウは更に指を増やした。
「いっ・・・いた・・・」
それまでの甘やかな吐息とは明らかに違う悲鳴とも
言える小さな叫びがカカシの口から漏れる。
「カカシさん・・・ダメですか・・・?」
テンゾウの指をカカシの内壁がきゅっと締め付け、
身体が硬直しているのが判る。
「いい・・・大丈夫・・・だから・・・」
身体は拒否しているのだろうに、カカシの口からは
大丈夫という言葉ばかり返ってくる。先程までカカシ
の快感を導いていた前立腺を刺激しても、押し広げら
れている苦痛が勝るのか、身体はしなやかさを取り戻
さない。
「辛いなら・・・今日は無理しないでもいいですよ・・・」
テンゾウがカカシの顔を見つめながら告げる。
「いいから・・・俺だって・・・そのつもりだったん
だから・・・やめるな・・・」
「カカシさん・・・」
ああ、この人が大好きだ。
テンゾウはしばらく三本の指で出し入れを繰り返し、
頃合をみてゆっくりと引き抜いた。その瞬間、カカシ
の身体が弛緩する。耐えていたカカシが愛しすぎて、
テンゾウは濃厚で深い口づけを与える。
そうしてサイドボードに置いていたスキンをつけ、
再びカカシの足を抱え、膝裏に自分の腕を入れた。カ
カシの顔を見つめながら、その足を押し広げるように
身体を折り曲げていく。
カカシはもう先ほどのように恥ずかしがって顔を横
に逸らしたりはしていない。テンゾウを見つめ返し、
腕をテンゾウの背中に回した。
硬度はもう十分過ぎるほどの自分のものをカカシの
窄みに宛てがう。とりあえず最初にぐっとひと押しす
ると、カカシの身体がピクつく。
辛いのだろうとは思う。それでもカカシはやめるな
といったのだ。今日はそのつもりだったと・・・その
言葉を聞いた時、テンゾウはもう躊躇わないと思った。
大好きな人と繋がりたい、その想いとともにカカシ
の中に突き進む。
「あっ・・・い・・た・・・あああ・・・・」
カカシの身体が弓なりになり、苦痛の声を上げる。
それでもテンゾウは自身を深くカカシの中へ踏み込ま
せた。
「ああ・・・ああ・・・」
「カカシさん・・・・体の力を抜いて・・・」
「ど・・・どうやって・・・・・」
「深呼吸して・・・僕を見て・・・」
カカシの整った顔立ちは苦痛に歪み、目には涙が滲
んでいる。テンゾウはこの行為を強いていることを申
し訳ないと思うが、同時に自身を締め付けるカカシの
内壁が堪らない快感を呼び覚ます。
あらゆる感情が押し寄せて、テンゾウは深く繋がっ
たままカカシに、何度目かも判らない口づけを行う。
指とは比べ物にならない質量で、テンゾウのものが
カカシの中に押し入ってきた。もう恥ずかしさに構っ
ている暇などなく、悲鳴を上げてしまう。
慣らす行為に随分時間をかけてもらったが、まるで
裂かれているかのような痛みが身体を貫く。力を抜い
てと言われても、混乱してどうしていいのか判らない。
それでもテンゾウに口づけされ、段々と落ち着いて
きた。
カカシも男で、挿入した後に男が望むことは充分過
ぎるほど判っている。
「テンゾウ・・・いいよ、動いて」
「もう・・いいですか?」
「うん」
「辛かったら言ってくださいね」
カカシは今度は黙って頷く。
カカシの許しを得て、テンゾウは抽挿を始めた。
「う・・・・」
いいという言葉とは裏腹に、テンゾウが動くとカカ
シが苦しそうに首を仰け反らせる。
でも、やめることはしない。カカシがいいと言った
時には、もう覚悟をして言葉を発していることが判っ
ているから。
カカシの内壁が蠢くようにテンゾウを締め付け、今
まで感じたことのない快感に支配される。
「あ・・・ああ・・・・」
テンゾウが引き抜き、また深く挿入すると、カカシ
は堪えきれない声を上げる。眼尻から涙が溢れている。
苦痛に苛まれながら自分を受け入れてくれているカ
カシが切なくて、そしてその愛情が嬉しくて、テンゾ
ウの感情がスパークしていく。
カカシの足を持ち抱え、一層激しく腰を打ち付けて、
カカシの中を行き来する。
「うあ・・・・テンゾウ・・・・あああ」
「カカシさん・・・好きだ」
「俺も・・・テンゾウ・・・ああ・・・」
自分を呼ぶカカシの声が身体の熱を更に沸騰させる。
苦しげに叫んでも、やめてくれとは言わないカカシの
想いと、自分がカカシを愛しく想う気持ちとが螺旋状
に交差する。
頭が真っ白になるような感覚でカカシの最奥に突き
進み、テンゾウは熱く滾る情液を迸らせた。
「あ、あ・・・」
射精後の脱力でしばらく動けなかったが、やがてテ
ンゾウはスキンを処理すると横たわるカカシの身体に
覆いかぶさるようにして抱きしめ、口づけを行う。
カカシもテンゾウの口づけに答え、ようやく二人の
唇が離れた時、耳元で囁く。
「やっぱドライブ行かない」
「・・?・・・え?なに?」
この状況で何を言われたのか理解できずに、テンゾ
ウは聞き返す。
「だからドライブ。洗車したから行こうって言ってた
だろ、夕方。でも行かない」
「あ、ああ・・・。あの、何か他にしたいことが出
来ましたか?」
「違う。行きたかったけど行けない」
「どうして?」
テンゾウが聞くと、カカシが顔を横に向けた。
「車のシートに長い時間座ったり出来ない」
「えっ?・・・ああ・・・」
テンゾウはようやくカカシの言っている状況が理解
出来、それと同時に申し訳ない気持ちが押し寄せる。
「なんか・・・すいません」
「謝ることはない」
「そうですけど・・・でも僕はいい思いだけで、カカ
シさんは辛かったんですよね」
「・・・いいよ。そのうち慣れるだろうし・・・」
カカシの言葉を聞いて、項垂れていた気持ちが浮上
する。
「そのうちっていうのは次もあるってことですよね」
「はあ?」
「あの、カカシさんから次の話をしてもらえるなんて
嬉しいです」
「・・・次の話しをしたわけじゃないだろ・・・」
「とにかく、ドライブはやめましょう」
「うん・・・」
「今日は家で一日ゆっくりしましょう。月曜も祭日で
すし」
「そうだな」
「で、次ですけど、今夜でいいですか?」
アイドルのような容姿で、いつも優しくて穏やかな
微笑みを浮かべているカカシが、テンゾウの言葉を聞
いて、にっこりとする。
次の瞬間、テンゾウの横顔を枕のラリアットが襲っ
た。