四季の庭荘

 

 

Winter color

 

 

22

「う・・・ああ・・・」

 

両手を頭上に縛られたまま、身体を深く折り曲げら

れてカカシはサスケに貫かれる。不自由な体勢のまま、

何度も角度を変えられて、その行為は続けられる。

 

「あっ・・・はあ・・・はあ・・・」

 

 胸の突起を摘ままれれば身体が跳ねる。うなじを、

耳朶を、鎖骨を、そして身体の中心を、唇が這い、噛

み、吸い付かれて呼吸が乱れ、過換気で意識すら朦朧

とする。

 

「カカシ・・・」

 

 名を呼びカカシの中を蹂躙し、サスケはその情欲を

果たす。

 

 

 

 翌日夜もカカシはサスケに手を縛られた。これはこ

れからサスケに抱かれる儀式。

 どういっても逃げられない状況にカカシは仕方なく

従う。

ただ手を縛られている間だけは首輪を外される。そ

の日はサスケが首輪を外した後、続けてタオルをくる

くると巻き、カカシに猿轡を噛ませようとした。

 

「ちょ・・・何をする!?」

 

 カカシは身体を捩り抵抗する。

 

「声を出されると困る」

 

「何言って・・・ここは地下で叫んでも聞こえないと

言ったのはお前だろう!?」

 

「うん、外に声は漏れない」

 

 サスケは至って冷静に答える。

 

「じゃあ・・・なぜ・・・うっ・・・」

 

 カカシが抵抗しようにも、元々手を縛られている上

にサスケは家業の警備会社の訓練を受けていて、手際

がいい。結局猿轡を噛まされてしまう。

 

「今から電話を掛ける。向こうからかかってきたが、

返事しないと怪しまれる」

 

 カカシにそう説明して、サスケは携帯を取り出す。

 

「電話して来ただろう。何の用だ」

 

「カカシがどうした」

 

「どうしてそれを?」

 

「自来也のところにまで電話をかけたのか」

 

 相手の音声が聞こえるわけではないが、サスケの話

す内容でカカシはすぐに電話の向こうはテンゾウだと

判った。

 

 テンゾウ・・・テンゾウ!心配してあちこち電話を

かけているのか。

 テンゾウ、俺はここにいる。ここにいるのに。

 

 手を縛られて猿轡を噛まされている。カカシはテン

ゾウに自分の存在を知らせたいと思うが、かなわない。

 

「同僚に二日くらい連絡しないからって騒いで自来也

のところにまで電話かけて、後から本人がバツの悪い

思いをするんじゃないか?」

 

 サスケはテンゾウのカカシを捜す行動を抑制するよ

うな言葉を発する。

 

 テンゾウ!俺はここにいるんだ!

 

「あの日、自来也の家からタクシーで先に俺の家に回

ってもらい、カカシはそのまま乗って行った」

 

 さらりとサスケは嘘を伝える。

 

 カカシは何とかそのサスケの言葉が嘘だと伝えたく

て、縛られていない足でベッドサイドテーブルに置い

てあったアンティーク調のランプを蹴飛ばす。

 

 ガッシャーン!と大きな音が響いて、ランプはフロ

ーリングの床に散らばった。

 

「ああ、すまん。飼い猫が暴れてベッドサイドランプ

を倒した」

 

 サスケがベッドの上で、足だけをサイドテーブルに

伸ばしてランプを蹴ったカカシを見つめながら電話の

向こう、テンゾウに話す。

 

 サスケは電話を切った後、ゆっくりとカカシに近づ

く。

 

「随分なことをしてくれるな・・・」

 

サスケは無表情でベッドを見下ろす。

 

「だいたい、人が電話している時は静かにしないと」

 

 ベッドサイドに座る。

 

「あんたが教えたことだろう」

 

 そうしてサスケは手を伸ばし、カカシの猿轡を外し

た。

 

「あんたが色々教えてくれたんだ。会社員の心得なん

かをね」

 

「サスケ、どうしてわざわざ俺に聞かせるんだ。今の

電話、テンゾウだろう」

 

 サスケはカカシを見つめて無表情に答える。

 

「そうだな・・・。ただ、単純にあんたを手に入れた

あいつへの対抗心だ。あんたはここで俺に抱かれてい

るのに、あいつは電話の向こうで何もできない」

 

 サスケはカカシの肌に手を滑らせる。

 

「今は・・・俺のものだ」

 

 そう言って、サスケはカカシに口づけ、その手はカ

カシの胸へと滑らせる。

 

 

 

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