Winter color
21章
サスケは身体をカカシの奥深くに沈めたまま余韻を
味わっていた。
想像以上にカカシを抱く行為はサスケを魅了し、激
しい興奮をもたらした。名残惜しいが、カカシの負担
を考え大きく息を吐いてから身を起こす。
ふと顔をあげるとカカシは唇を噛み締めて目尻から
静かに涙を流している。
「カカシ」
サスケはカカシの顔を覗き込むように真正面から話
しかける。
「大丈夫か?」
「・・・大丈夫なわけないだろう・・・」
カカシが吐き捨てるように答えた。
「慣れているんじゃないのか?あいつ相手でも、あん
たの方が突っ込まれていると思っていたけど」
サスケはカカシを見つめながら思ったことをそのま
ま口にする。
「サスケ・・・」
カカシは息苦しいような感覚になる。準備されたこ
れらの行いの周到さに比べ、話すことはまるで欲しい
ものを我慢できないこどものようだ。
「サスケ、身体じゃなくて・・・俺の気持ちを考えろ
よ・・・」
カカシの言葉に、サスケは物憂げな表情を浮かべた。
「カカシ・・・。自分のしている事がわかっていない
わけじゃない。でも反省はしない。後悔するくらいな
らこんな計画立てない。俺はあんたが好きなんだ」
「サスケ・・・さっきも言ったけど・・・これは好き
な相手にすることか・・・?」
「無理やりでないと、あんたは俺と寝たりしないだろ
う?」
カカシは流れる涙を止めることができなかった。サ
スケはある意味、覚悟を決めてこの行為に及んでいる
のだ。している事は完全に間違った身勝手な行動だと
しても。
哀しかった。
監禁されて無理やり抱かれている自分の状況も、人
を愛することの意味を取り違えている部下を諭せない
ことも。
「カカシ・・・」
サスケは、静かに涙を流すカカシを沈痛な表情で見
つめた。それからカカシに布団を被せ、一度ベッドか
ら離れる。そして手に湯で絞ったタオルを持って戻っ
てきた。
「まだ足が動かせないだろう」
そう言ってサスケはカカシの身体を拭く。一回目の
衝撃はだいぶ薄れてきたが、後からスタンガンの衝撃
を受けた足はまだじんじんとしている。
涙を丁寧に拭うサスケの手つきは優しい。カカシは
サスケに身を預けながら、本質はきっと優しい青年へ
の、許せない気持ちと心底憎み切れない気持ちに苛ま
れていた。
「俺と一緒だとゆっくり眠れないだろう。俺は上の部
屋で寝る」
サスケはそう言ってカカシの身体を拭き、新しい室
内着を着せると出て行った。
翌日、さすがにスタンガンの影響もなくなりカカシ
は部屋の中を探索していた。
自分に巻かれている首輪に南京錠で繋がれ、途中で
継ぎ足されている鎖はサスケが言うとおり、室内のト
イレやシャワールームには届くが、外に通じる唯一の
通り道となるドアノブには届かなかった。もっともド
アには外から鍵がかかっている。
元を断ち切ろうにも、頑丈そうなソファの横軸に南
京錠で繋がれて、どうしようもなかった。
そしてここは地下室で窓はない。携帯の入っている
鞄はいつの間にか見当たらなかった。サスケに隠され
たのだと思う。
この後どうなるのだろう。サスケは本当に解放して
くれるのか。
解放されたとして、自分は連絡の取れなかった数日
をテンゾウにどう説明したらいいのだろう・・・。サ
スケに抱かれていたと、そんな事、言えはしない。
カカシは先の見えない不安に襲われる。
サスケが朝食をトレイに乗せて運んできた。食欲は
なかったが、食べなければ体力はもちろん気力も萎え
ると考え直し、カカシはトーストをかじる。
「・・・俺はまだ監禁されるのか?」
カカシはサスケに問う。
「年末年始の休暇の間はそのつもりだ」
分かっていた答えとはいえ、カカシは胸苦しい感覚
に耐えるしかなかった。
その日の夕方、サスケがカカシにベッドへ行くよう
に告げる。
そもそもそれが目的なのだからわかっていたとはいえ
カカシの心は暗澹とする。しかしサスケに今逆らっても
この状況は変わらない。仕方なくカカシがベッドに乗る
と、すぐさま服を脱がされた。
そのままセックスが始まるのかと思うと、サスケがカ
カシの腕をとり、ベッド上部に装飾のため開けられてい
る飾り穴を使い紐で縛ろうとする。
「何する!?」
「悪いが昨日みたいにスタンガンで動けない状態じゃ
ないあんたに反撃される可能性もある。縛らせてもら
う」
「お前を殴ってもドアからは出られないだろう」
サスケが口の端だけで笑みを浮かべる。
「確かに。でも腹いせに俺を殴ることも考えられるだ
ろう」
カカシが怒りで声を荒げる。
「いい加減にしろよ。俺は今でもこんな動物みたいに
鎖で繋がれているんだ。その上また縛りつけるのか」
「・・・手は縛る。その間、鎖は外そう」
サスケの考えを完全に変えることは無理なのだ。カ
カシは一つため息をついて仕方なく腕を縛られること
に抵抗をやめる。
ベッド上部に通した紐で頭上に手を挙げるような状
態で縛られた後、ようやく首輪を外された。
首の軽さを感じる間もなく、カカシはサスケから濃
厚な口づけを受ける。