今ひとたびの邂逅

睦みの庭荘

 

 

 

今ひとたびの邂逅13

 

 

「あっ・・・あう・・・」

 

カカシはゲンマに激しく揺すりあげられていた。何

度も角度を変え、速さを変え、体位を変えて突き上げ

られる。

 

「ああっ・・・・はっ・・・・」

 

 肉を打つ音とカカシの荒い息と喘ぎ声が交差しなが

ら、濃密な空間へ溶け込んでいく。

 

「まだだ・・・」

 

 ゲンマはカカシの足の膝裏を持ち、ぐっと左右に押

し広げながら、一層奥へと杭を打つ。

 

「あ・・・ああ・・・」

 

 ゲンマはカカシの中を行き来しながら時折胸の突起

を摘み上げる。

 

「あうっ・・・」

 

 快楽と痛み、紙一重の感覚に背中が仰け反る。獣的

な獰猛さで責めたてるゲンマの怒りを呼び込んだのは

自分だと、カカシは自覚していた。

 

 好意を寄せてくれているのを利用して、テンゾウに

ゲンマと関係があると言ったことを既成事実にする、

その自分の狡さに吐き気すらする。

 

 だからもっと手酷く扱われてもいいのだ。

 

 包み込むように、大切なものを扱うように自分を抱

いたテンゾウとは違う乱暴さが自分には似合っている。

 

 自己否定は鬱陶しいとゲンマに言われた言葉が甦る。

 

 こんな自分は嫌だと思いながら、それでも大切な人

を失う恐怖がいつも心に影を落とし、独占する貪欲さ

を表せない。

 

 ゲンマの言うとおり、テンゾウは今でも自分を想っ

てくれているのかもしれない。あの女性が一方的にテ

ンゾウを好きになっているだけかもしれない。

でも明るい日差しの中で美しい笑顔を見せる女性と

一緒にいた時の自然さを見てしまうと、抱き合う場面

を見てしまうと、テンゾウにとってそのほうがいいの

ではと思ってしまう。

 

 告白されて付き合い始めた時より、臆病になってい

る。今よりもっと好きになって、今よりもっと大切な

人になって、どんどんどんどんその存在が自分にとっ

て大きくなって・・・そして再び失ったら・・・永遠

の別れに、きっと今の自分は耐えられない。

 

 

 

 ゲンマはカカシに深く押し入ったまま、身体を折り

曲げ乱暴な口づけを行う。顎を掴み、舌を何度も絡め

る。

 カカシに想われている男に対する憎悪にも似た嫉妬

心。他の男を想いながら自分に抱かれるカカシへの苛

立ち。この気持ちは一方通行と分かっていてなお、カ

カシへの想いを封印出来ない自分への焦燥感。

 

 本当に手に入れたいものには、クールではいられな

い。俺を利用するなと、拒否する気概さえ見せられな

い。

 

 カカシの身体は、想像以上に魅惑的で欲望を掻き立

てられる。

 

「くっ・・・」

 

 ゲンマはカカシの中で動きを加速させた。

 

「ああっ・・・」

 

 激しく責めたて、自身のボルテージが最高潮に達し

た時、ゲンマはカカシの中でそれを解放する。

 

「ふう・・・」

 

 一息つきカカシから離れ、もう一度深く口づけを行

いゲンマはベッドから降りた。

 

 

前へ    続く