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最初はベテラン暗部と一緒に組み、任務に出た。結果的には、僕
は火影のところで磨いてきた秘術、木遁を駆使し自分で言うのもお
かしいが大活躍で、任務に貢献出来た。
敵とはいえ、命を落とす瞬間は確かに辛いものがあったが、僕自
身は後方支援だったので、直接手を下していない事もあり、最初に
思ったよりは、平気でいられた。
「おい、新入り猫面。どうだった?初任務は?」
「まあ、思ったよりは平気でした。」
「度胸据わってんじゃねえか。さすが、火影様の秘蔵っ子だけの事
はある。」
僕は、少々得意になった。
おどろおどろしい、暗部という組織。でも、ここには僕の居場所
があり、そして僕の実力はここで充分通用する。
いくつかの任務を経て、僕はさらに自信をつけた。今まで、何も
失敗はない。
ある日、多勢の暗部と合同での大規模な任務の命が下った。抜け
忍が中心となった人身売買組織の壊滅任務。中々、本拠を掴めなか
ったその組織に潜入する事が出来た暗部が戻ってきたので、場所や、
その他の情報が掴め、いよいよ一網打尽にするという事だった。
打ち合わせ場所の暗部待機所の部屋に入ると、ある誰かを囲んで
輪が出来ていた。
「さすがだな。」
「まあね。」
「怪我とかしてないのか?」
「俺は、売り物の商品として扱われていたからね。部屋に鍵はかか
っていたけど、縄とかもされなかったの。傷がつくからって。結構
大事にされてた。」
「なるほど。お前なら高く売れるから、特別扱いされてたんだな。」
声は聞こえるが、僕には皆に囲まれてその輪の中心にいる人の姿
見えなかった。
「よーし、皆揃ったか?」
部隊長が声をあげた。その声を合図に皆が散らばり、それぞれ
席に着いた。僕は、今まで人の輪の中心にいた人物を見ようとそち
らを振り返ったら、部隊長に注意された。
「新入り。前向いて。集中。」
そして、部隊長は一つ咳払いして今回の任務について説明し始め
る。
「・・・・・という訳で、奴らの出没しそうな場所に逗留し、自ら
人攫いにあって潜入捜査をしてきた、カカシからの報告を聞こう。」
カカシと呼ばれた人が立ち上がった。さっきまで、輪の中心にい
た人。
今回の話を聞いた時、攫われ様として、うまく人攫いになんかあう
んだろうかと思ったのだが、彼を見た瞬間なるほどと思った。
年の頃は僕より少し上だろうか。狐面は頭の上にかぶせている。
口布をしているが、端整な顔立ちをしていることは、僕でも分かっ
た。
身体全体の線が細く、暗部服から覗く肌は白い。そして何より印
象的なシルバーの髪。およそ、忍には見えない。
彼なら、私服を着て、危ない場所を歩いていれば人身売買組織に
狙われるだろう。彼のような少年を好む人がいるというのは知識と
して知っている。しかし・・・、彼を一人で潜入捜査に向かわすな
んて火影様は、何を考えているのだろう。危なすぎるじゃない
か・・・。あんな細身の身体で、よく敵の中から戻って来れた・・・。
カカシさんが前に立ち、自分が得てきた情報を皆に説明し始めて
も僕は彼の言葉に集中できず、あれこれや考えながら、ずっと彼を
見つめていた。
ふと、彼と目が合い、彼がにっこりとする。
「お前、初めてだよね。よろしくな。今の説明分かった?」
「え?あ・あ・はい!わ・分かりました。」
自分でも驚くくらい焦った。しどろもどろ返事する僕にカカシさ
んは笑顔を返してくれた。
瞬間、僕の胸が跳ね返った。