Winter color
24章
「なるほど・・・話は分かった」
カカシの友人で刑事でもある猿飛アスマは、テンゾ
ウの話に真剣に耳を傾けてくれた。
「騒ぎ過ぎと思われても、とにかく心配で心配で・・・」
「そもそも職場の上司が、部下からの連絡に3日間も
返信しないなんてことはないだろう。どんな緊急連絡
かもしれないのに」
「はい」
テンゾウは説明の中でもカカシと自分が付き合って
いるとは明かさなかった。カカシが友人達に二人の関
係をどんな風に説明しているか分からないので、勝手
に言うわけにはいかない。
それでもアスマはカカシからレスポンスがないのは
おかしいと親身になってくれた。
「君の話だと最後にカカシに会っているのは、同じ会
社のうちはサスケ君」
「そうです。でも彼は知らない、タクシーを先に降り
て別れたと」
「タクシー強盗が起きたとか、タクシーそのものが行
方不明とかの事件はこの三日間で起きていない。通常
にタクシーからは降りたと考えるのが妥当だ。でも家
には帰ってない。そもそもカカシは気分の悪いと言っ
ている部下を家の玄関まで見送らずに、タクシーに乗
ったまま別れたりしないだろう」
「そう思います。それに・・・こんなこと言っていい
のかわかりませんが」
「今はどんなことでもいいから」
「サスケは余り社交的ではない社員ですが、唯一カカ
シ主任にはなついてて」
「うん」
「普段から、とてもカカシ主任のことを気にかけてい
るんです。それなのに、僕が彼からの連絡がないと言
ったことに割と冷静で・・・どっちかというとあまり
騒がない方がいいんじゃないかと釘を刺された。そこ
も何かしら引っかかる。ただ・・・サスケが絡んでい
るとして理由は分かりませんが」
「理由はカカシを見つければわかるさ。うちは君の家
は判るかい?」
「住所は会社に行かないと・・・うちは警備保障の社
長宅ですが」
「え?あの有名な?」
「はい。彼は社長の息子だそうです」
「それが分かってるならこちらで調べられるかもしれ
ない。よし、じゃあ」
アスマは刑事らしく手際よく段取りを決めて、車が
止められる駐車場が必ずあるからとファミレスを待ち
合わせの場所として指定した。
「そうだ、この前会った体育教師覚えてる?」
「はい、ガイさん・・・だったかな」
「そう、あいつも連れて行くよ。カカシのことで自分
が知らない事あると拗ねるから。それに、俺も刑事と
しては行けないしな。令状があるわけじゃないから、
あくまで友人として」
2時間後、テンゾウはアスマに指定された深夜営業を
しているファミレスで待っていた。
それまでのまんじりと不安のままに時間が過ぎてい
た時に比べれば、この2時間は希望が見いだせる時間
であったが、それでも胸は締め付けられたように苦し
かった。
ファミレスの来客を知らせるベルと共に、大柄な男
二人が入ってくる。
「やあ、久しぶり」
「お久しぶりです。突然のことでお騒がせして、すい
ません」
「何言ってるの、カカシのことは俺達だって心配だか
ら」
注文を取りに来たウエイトレスにコーヒーを頼み、
アスマは早速話し始めた。
「うちは邸の場所は分かったから今から向かう。俺が
先導するから、君はついてきてくれ」
「はい」
「普通に家に入るのは拒否されると思うけど、俺がう
まく言うから」
「お願いします」
アスマの話にテンゾウが頷いていると、横からガイ
が口を挟む。
「無理なら窓を叩き割って入ればいい」
「お前ね、警備保障会社の社長宅だよ、きっと窓に近
づくことも出来ないし、仮にできても器物損壊と不法
侵入だよ。いいから俺に任せろ」
「分かったから、さっさと行こう」
ガイの言葉を機に、運ばれたコーヒーも口をつける
ことなく、三人は席を立つ。
「あうっ・・・あ・・・・ああっ・・・」
「カカシ・・・カカシ・・・」
サスケは時折休憩を入れながら、カカシを貫く行為
を続けていた。
何度目かの射精を終え、ふーっと息を吐く。呼吸を
整えた後再びカカシに寄り添い、愛しそうに頬を押さ
えて口づけする。
「カカシ・・・二人で暮らそう、ここで」
サスケはカカシに長い鎖のついた首輪を嵌め、その
後にベッドに括りつけていた両腕を解放しながら話す。
「・・・お前、人を縛りあげてこんなことして、よく
そんなことが言える・・・」
「だから言っただろう。無理やりでないとお前は来な
かった。でもずっと一緒にいて、気持ちは変わらない
か?少しでも・・・俺の事を考えられないか?」
「ストックホルム症候群なんてならない・・・。俺の
気持ちは変わらない」
「お前は好きな事だけして暮らせばいい。仕事がした
いならそれもいい。欲しい物なら何でも用意する・・・」
「サスケ、金なんて普通に暮らせる分だけあればいい。
どうしても欲しい物ならローンでも組んで買うさ。贅
沢な暮らしなんて望んでいない。俺は・・・」
その時、部屋の中央のテーブルに置いていたサスケ
の携帯が、着信を知らせる振動を始めた。