新月の庭荘

その八

 

その九

 

「カカシぶどう食べる?」

休みのある日、カカシがいつものように本を読みながら、ソファに座っていると

サスケが聞いてきた。

「うん食べる。」

カカシが、本から顔も上げずに返事をすると、ふいに顎を掴まれる。

口付けられたと思ったら、口の中にぶどうの実が入り込む。

「おいしい?」

サスケが尋ねた。

「おいしい。」

カカシが返事をすると、またサスケが自分の口にぶどうを入れ、

カカシに口付けして、ぶどうをカカシの口に入れる。

「サスケって時々子供っぽいことするな・・・」

カカシが、思ったことをついそのまま口にすると

サスケがちょっとむくれた顔をした。

「いいだろ、別に。こい・・一緒に住んでるんだから。」

そう言って、ぶどうの房をテーブルに置いて向こうへ行ってしまった。

 

恋人って言いかけたのだろうか・・・。

 

 二人が一緒に住み始めて三年近い月日が流れていた。

カカシは、それでも22にもうすぐなるばかりの若いサスケの心情を思う。

もっと、若い恋人同士のように大っぴらにはしゃいだり、

ふざけたり、そういう事がしたいと思っても不思議でない。

でも、自分はサスケを恋人とはどうしても呼べない。

好きか嫌いで言えば、もちろん好きだと思う。

三年間、変わらず優しいサスケを愛しいとさえ思う。それでも、

けしてそれは、テンゾウに対する愛情とは違うのだ。

 

 

その夜、カカシはいつものようにサスケに抱かれていた。

一番めちゃくちゃにはじけたい時であろうに、カカシにあわせて

優しく身体を重ねる。そんなサスケが愛しくて、いつまでも

テンゾウを忘れられず、サスケを愛せない自分が許せない気持ちになってくる。

 

唇から、耳、首筋、サスケの舌が這う。指で胸の突起を触られる。

前を銜えられ、心地よく開放してくれる。後を解かす指も、

無理じいはしない。

愛撫されながら、カカシは思わず謝った。

「ごめん・・・。サスケ・・・。」

カカシの胸を甘噛みしていたサスケが顔を上げた。

「なに謝ってるの?」

「サスケは・・・こんなに優しいのに、俺がいつまでたっても・・・

忘れられなくて・・・。ごめん、サスケ・・・。」

 

 

 

サスケは、自分のしていることの罪深さを改めて感じた。

カカシは、無理矢理恋人と引き離されたのに、今度は

脅迫者である自分を愛せないと、悩んでいるのだ。

愛せなくて当たり前なのに・・・。むしろ憎んでも当然なのに・・・。

自分は、何処までこの愛する人を苦しめるのだろう。

サスケは、カカシの胸を強く噛む。

「痛い・・。」

カカシが小さく抗議する。構わず、はんたいの乳首も噛む。

「あ・・・。」

カカシが、身体を捩る。

「謝ったりするな・・・。悪いのは俺なのに・・・、謝ったりするな・・・」

サスケは、その夜、いつもより乱暴にカカシを抱いた。

 

戻る 続く