その二
「・・・シ、・・・カシ、カカシ。」
遠くで呼ばれているような感覚から、段々近づいてくる声に、カカシはうっすらと目を開ける。
「起きたか。」
サスケがいた。
カカシは、半分朦朧とした意識の中で、自分の身体に違和感を感じた。気がつくと
庭に面した居間にいたはずなのに、ベッドに寝かされ、両手をそれぞれ縄で、頭の上のベッド柵に括り付けられていた。
感覚がはっきりしてくると、全裸である事もわかる。
「サスケ・・・。何のマネだこれは・・・。」
サスケが、ベッドの端にカカシの顔を覗き込むように座った。
「今の俺は、かつてイタチが操っていた、月読もコントロールできる。
さっきお前にかけた術は、あらかじめ数時間で回復できるように、手加減したものだ。
いつまでも昏睡されていては、抱けないから。」
「何を言ってる・・・?」
カカシは淡々ととんでもない事を話すサスケに、恐怖を覚えた。
「意識はまだ朦朧として、身体も自由にはならないだろうが、カカシの事だからな。
用心の為、手は括らしてもらった。」
カカシは、とりあえず縄抜けを試みるが出来ない。
「カカシ、無駄だ。そのロープはチャクラを流し込んでいる特殊なものだ。
もがけばもがくほど、お前が辛くなる。」
サスケの言うとおりだった。手を動かせばまるで縄が生きているかのように、締めあげる。
何もしてなくても、びりびりとした痛みが手首を取り巻いていた。
サスケの手が伸びて、カカシの髪を触った。そのまま頬に手を滑らし、肩から、胸へと
カカシの身体を触っていく。
「思ったとおり、あんたは綺麗だ。ずっとずっと、想い描いていた通り。」
「サスケ。ふざけた事をするな。」
身体をよじって、サスケの手から逃げようとするが、手を拘束されていて、避けきれない。
カカシは、現在、自分の身に起こっている事が、信じられなかった。
自分は、本当に今から、サスケに抱かれるのか?
かつて、手塩にかけた教え子に・・・。
そんなばかな・・・。嫌だ、テンゾウ以外の誰にも触られたくない。
テンゾウの顔が浮かぶと同時に、サスケが見せた、
月読の中の、クナイに全身を刺されるテンゾウの映像が浮かんだ。
眩暈がして、思わず目をつぶる。
抑揚のない、冷たいサスケの言葉が、聞こえてきた。
「カカシ、覚えてるだろう。意識を失う前に俺がいった言葉。ほんの2時間前だ。
お前に選択権があるのは、俺のものになって、ヤマトの命を助けるか、
拒否して、俺にヤマトを殺させるか、どちらかだけだ。どっちにしても、今はお前を抱くが。」
サスケの本気がカカシに伝わる。
「お前・・・。俺なんかのために、里の仲間を殺すのか・・・?」
「俺は、カカシがいればいい。ヤマトを殺されたくなかったら、お前に見せた光景が現実にならないようにするには、
俺に従うことだ。」
お喋りは終わりだとでも言うように、サスケの唇が、カカシの口をふさいだ。
すぐに舌をねじ入れてくる。カカシはよけようとしたが、顔を手でしっかりと押さえられていて、
よけられない。月読の影響で、身体の動きが鈍い。何より、逆らえばヤマトを殺すという言葉が、
カカシから、抵抗する気力を奪う。
口内をサスケの舌がうごめく。逃げようとするカカシの舌を追ってくる。上、下、奥へと、
サスケは容赦しない。カカシは息が苦しくなってきたが、手が拘束されていて、それを伝える事が出来ない。
息苦しさで、朦朧とした意識が更に強まった頃、唇がようやく開放されて、カカシは息をはいた。
サスケは、唇と離すとじっとカカシを見下ろした。
「カカシ・・・。好きだ。」
再び、サスケはカカシの身体の上に覆いかぶさり、耳から首筋へと、舌を這わす。
左手で、自身の身体を支えながら、右手でカカシの胸の突起を触る。
優しくなで上げ、乳首を手のひらでさすり、そうかと思うと、乱暴に摘まみあげる。
「うっ・・・くっ・・・」
痛みで、思わず身体が仰け反るカカシ。
サスケは、手を換え左の乳首も責める。カカシの息が上がってくる。
「はあ、あっ、ああ・・」
サスケはカカシの茂みの中の物を口に含んだ。
歯を立て、舌で舐めあげ、更に吸い上げる。カカシには、嫌悪感しかなかったが、
それでも、身体は反応する。
「あ、やっ、ああ、・・・。テンゾウ、テンゾウ・・・、テンゾウ。」
元々、意識は朦朧としており、更に攻め立てられて、カカシは薄い意識の中で、思わずテンゾウの名を呼んでしまう。
サスケの動きが止まった。表情が変りカカシを睨み付け、身体から離れる。
ベッドの側にカカシの腕を縛る為に置いていた、縄の残りを手に取った。
サスケは、カカシの身体をひっくり返し、うつぶせにさせた。
ベッド柵に腕を括り付けている縄が、体を反す為ねじれ、手首に痛みが襲う。
そうして、カカシの背中に、縄を振り下ろした。
「あうっ!」
カカシが唸る。
白い肌に線状の傷が刻まれていく。
チャクラをねじ込んでいる縄のため、一振り、一振りが、息が止まるほどに痛い。
涙がにじんだ。
「サスケ・・・、サスケ・・・もうやめてくれ。」
カカシがサスケの名を呼び、懇願するとようやくサスケは手を止めた。
サスケが言い放つ。
「そうだ、カカシ。今おまえを抱いているのは俺だ、サスケだ。
俺の前で、二度とあいつの名前を口にするな。お前が、あいつの名前を言うたび、俺はお前を打つ。」
サスケが何を言ってもカカシはもう反応出来ない。
うつぶせのまま、堅く閉じている瞼から涙が流れている。
そんな、カカシをサスケは見つめた。
白く美しい肌には、肩や、腰、大腿の方まで、何回鞭打ったのか、いくつもの線状の傷。
サスケは、カカシの腕を拘束している縄もほどいた。
手首にも縄の後がくっきりとついて、ミミズ腫れになっている。
そっと抱き起こし、カカシの身体を抱きしめた。