新月の庭荘

その三

その三

 

しばらくカカシを抱きしめた後、サスケはカカシの身体を今度は仰向けに横たえた。

そしてもう一度カカシに口づけ、再びその身体を愛撫し始める。

 

さっきと違い、カカシの腕はもう拘束されていない。

幾ら月読の後でも、サスケが強いといっても、腕が自由なら、カカシほどの実力があれば、

全く抵抗できないというわけではない。

しかし、ヤマトを殺すというサスケの言葉がカカシに深く突き刺さる。

 先ほど、鞭打たれた背中が焼けるように痛い。テンゾウの名を聞いた時の

サスケの逆上振りは常軌を逸していた。

 

本当に殺すつもりなのだ・・・・・。

 

カカシは改めて、戦慄を覚えた。カカシがサスケの指示に従わなければ、

テンゾウは殺される。そう思うと、手が自由になった今さえ、抵抗できなかった。

 

 

サスケはカカシの白い肌にその唇で、愛撫の跡を刻んでいく。

やがて、カカシの膝の下から手を入れ、その両足を開いた。

ベッドの横の小瓶に手を伸ばし、サスケが自分の右指をその瓶の中のオイルに浸し、

そうして、カカシの窄みに指を入れる。どうしても嫌悪感が勝り、

幾ら愛撫されても快感が得られないカカシは、ずっと身体に力が入っていた。

仰向けになっている今は、先ほど打たれた背中の傷の痛みもあり、

なお、力が抜けずにいる。

 

「力を抜け。」

ずっと、黙ってカカシの身体を蹂躙していたサスケが、声を出した。

指の進入すら拒むカカシの身体に業を煮やすように、乱暴にかき回す。

更に2本に増やされ、それまで自身の喘ぎを、唇を噛み、耐えていたカカシの身体が仰け反り、

啼くような掠れた悲鳴を上げる。

「あっ・・・、ああぅ・・・、いや・・・いやだ・・・」

 

サスケはカカシの悲鳴も無視して、乱暴に押し広げていた2本の指を同時に抜き去り、

自身の物をカカシに突き入れてきた。

「ああっあ・・・、あーっ・・・」

サスケはカカシの脚を固定し、腰を浮かせ、先ほどからの乱暴さそのままに、若い身体の猛々しさをカカシに突きつける。

両手で腰の横辺りのシーツを掴み、カカシは耐えるしかなかった。

サスケが動くたび、背中の傷がシーツにこすれて更に痛みが増す。

そうして、力が抜けないことで、結果的にサスケの物を締めつけ、かえって煽ってしまっていた。

 

身体の力が抜けないカカシの中はきつく、時に締め付けられ、若いサスケの身体は素直に反応する。

愛するカカシを、初めてその手に抱いた熱情は、中々果てることなく、何度も何度もカカシを、貫いた。

 

 

 

ひと時の後、カカシの中で果てたサスケは、自身の呼吸が整うまで、カカシの横にいた。

そうして、サスケに開放された状態の時のまま、動かないカカシを見つめている。

やがて、呼吸を整えると、お湯を洗面器に入れてきた。

 

さっきまでの乱暴さが嘘の様に、優しくまるでガラス細工を扱うかのように、

カカシの顔から順番に、お湯で絞ったタオルで拭いていく。そっと抱きかかえ起こすと、カカシの手を前につかせた。

「カカシ、ちょっと我慢して。」

そう言って、自身がカカシの中に放ったものも、もう一度指を入れて、優しく掻き出す。

カカシの身体全てをお湯で拭くと、自身がその背中に、特殊な縄で刻みつけた線状の傷に、傷薬を塗った。

シーツには、その傷から滲み出た、血液もついている。

そうして、サスケのパジャマを着せ抱きかかえて、ソファに運んだ。

カカシをソファに横たえると、サスケはベッドのシーツをはがして、新しいものに取り替え、

カカシを再びベッドに横たえた。

 

 

 

仰向けは背中が痛く、カカシは横を向いて、硬く目を閉じた。

テンゾウ以外に抱かれた、そのことが、カカシの心を打ちのめす。

 

サスケはずるい・・・。

 

 カカシは思う。酷くするなら、ずっと酷くすればいいのに、

さんざん乱暴に扱い、カカシが殺したくなるほど酷いままでいてくれたら、

サスケを殺して、テンゾウの元に帰るのに・・・・・・。

 

昔の愛しい教え子の面影をそのまま残し、自分が傷ついたような辛い顔をして、

優しくカカシの身体を拭くサスケを、カカシは殺すことは出来ない。

辛い過去を乗り越え里に帰り、これからはどうか幸せにと、その将来を案じた子が

狂気すらにじませて、自分を愛していると、自分を欲しいという。

お前の幸せは、俺を手に入れる事だというのだろうか・・・。

カカシは、自覚していた。自分にはサスケは殺せない。

 

 テンゾウに本当のことを話せば、力ずくで、カカシを取り戻しにくるだろう。

そうなれば、二人はどちらかが死ぬまで、カカシを争って戦う事になる。

それこそ、カカシにとって悲劇だ。

 

ならば、自分の心を殺すしかないのだろうか。

心を殺し、テンゾウと別れ、サスケの元に・・・。

 

テンゾウと別れ・・・、という言葉を思い浮かべ、カカシは胸が痛くなった。

そんなこと、辛すぎて、辛すぎて、今は何も考えたくない。カカシは、更にきつく瞼を閉じた。

 

戻る 続く