お宮とお千は豪快に飲み、食べ、喋り、カカシは
ほとんど言葉を発することなく聞き役に回っていた。
テンゾウがこっそり財布の中味を確認するのを横目で見て笑いながら。
ちょっと意地悪に今日はそのままテンゾウに払わせようと思う。
不安な気持ちになったのは事実だから。
よく考えれば、自分が考えすぎていただけで、
テンゾウに非はないのかも知れないけど。
カカシはいかに自分が臆病なのかと思う。
失う事が怖くて、ずっとガードを張って生きてきた。
もう誰も自分の心に入りこまないように。
そのガードを突き破り、暗い部屋の隅で蹲ってた自分の手を取り、
明るい陽射しの中へと連れ出してくれたテンゾウ。
それなのに、少しの事で不安になる。臆病はむしろ増している様だ。
テンゾウはいい男だから、お宮さんのような魅力的な女性に好かれるのも分かる。
だけど、ついつい思ってしまう。テンゾウの視界に入るものは、
自分だけだったらいいのにと。
テンゾウがお宮さんと話しながら彼女に微笑みかける。
そんなことで切なくなる。
そしてカカシは気づいた。ああ・・・そうか・・・。
臆病というよりは、貪欲になったのかも知れないと。
テンゾウに自分だけを見てもらいたいのだ。
心も身体も余すことなく全て愛されたい。
そう思うのは、自分もそれ程に愛しているから。
お宮とお千の会話に口を挟む事は出来ないとはいえ、
何だか完全に黙りこくっているカカシをテンゾウは気遣う。
「先輩?大丈夫ですか?」
テンゾウは、カカシが元気がないのは自分が先ほど激しく抱いたのが負担だったのかと思う。
「ん?大丈夫だよ。」
「
戻る 続く