テンゾウはカカシの腕を引っ張り、
すでに近くだったカカシの部屋へ向かった。
合鍵で鍵を開ける間も、カカシの腕を掴んだまま離さない。
部屋に入るとすぐにカカシの任務服を脱がせにかかる。
シャワールームへと移動しながら、次々に肌を露わにしていく。
テンゾウ自身は市民に変装していたので、着流しを着ていた。
帯を解くのももどかしく着物を脱ぎ捨て、カカシとともにシャワーを浴びる。
すぐにカカシの唇を奪う。カカシも黙って受け入れている。
互いに無言でただ激しく、相手の舌を求め合った。
ひとしきり、口内を犯した後、テンゾウは流れるお湯の下で、
カカシの腕を壁につかせる。後から抱きしめ、
その胸の頂きに指を這わせる。反対の手では、
反応し始めたカカシのものを梳く。
流れる湯音にかき消されるような小さな喘ぎを、堪えきれぬカカシが発する。
テンゾウをさらに煽るその溜め息のような、声。
耳朶を噛みながら、胸の頂きを摘まんでいた指を、
カカシの後腔に宛がい、優しく挿入する。
壁についていた指に思わず力が入るカカシ。
そのカカシの反応を見ながら、テンゾウは指の出し入れを緩やかに行う。
さらに二本に増やし、内壁を探る。
カカシのそこは、まだ慣れぬ行為に硬さはあったが、
テンゾウがいいところを探り当てると、まるで意志を持っているかのように、
テンゾウの指を受け入れ、締め上げる。
たまらず、テンゾウは指を抜き、自身を挿入させる。
今度は湯音でも消えない音量で、カカシが声を上げる。
「あっ・・・。ああ・・・。」
後から貫いているから、カカシの顔が見えない。
テンゾウは最奥まで入れると、壁に手をつき下を向いて堪えるカカシの顎を
無理矢理自分に向けさせ、挿入したまま口付けた。
そして再び頂きの突起を摘み上げる。一緒にいきたいから前を梳くのは一旦止める。
そうしてテンゾウは、ゆっくり動きを加え始めた。
まだ二度目の行為は、カカシにとってはやはり苦痛の方が大きい。
テンゾウが動くたびに身を捩ってしまう。
それでも精一杯、受け入れる行為に慣れようと、カカシになりに息を整える。
そんな姿を見て、テンゾウは愛しさがさらに溢れる。
テンゾウは今更ながら再確認する。自分が愛した人は、
失う事に何より臆病なのだという事を。
それを知っていながら、不安な気持ちにさせた。
好きな事、愛していう事、大事に思っている事、
ちゃんと伝えなくては。
テンゾウは、手を伸ばしシャワーを止めた。
「一緒にいきましょう。」
耳元でカカシに囁き、再びカカシのものを梳きはじめ、
同時に自分もカカシの中への出し入れのスピードをあげる。
「はああ・・・っ。あっ・・あっ・・・。」
激しく貫かれ、カカシの声はシャワー音が消えた静かな浴室に響いた。
恥かしさに気を配る余裕は、今この時のカカシにはなかった。
高みへと上り詰め、二人はほぼ同時に果てた。
テンゾウは再びシャワーを出し、
互いに汗と精液にまみれた身体を洗い流す。
かき出す行為の時の恥ずかしそうに俯くカカシが可愛く、
テンゾウがつい、もう一度いいですか?と口に出して言うとカカシに頭をはたかれた。
「バカ。」
「バカは酷いなあ・・・。
本音を言っただけなのに。」
「極端すぎるんだよ。今まで放っておいて。」
「放っておいた訳では・・・。先輩の身体が心配でしたし。」
言いながらテンゾウは、カカシの不安は自分がもたらしていたのだと確信する。
誰よりも強くて、そして誰よりも臆病な可愛い人。
テンゾウはバスタオルでカカシの髪を拭きながら、
もう何度目か分からない口付けを落とした。
カカシが休憩をしてから、二人は普段着を着て夕食を食べに外へ出た。
一軒の和食中心の料理屋に入ると、今日さんざん聞いた声が聞こえる。
「テンゾウ〜!カカシ〜!偶然〜!」
「お、お宮さん・・・。」
お宮が、同じ暗部仲間のくの一、お千と来ていた。
「テンゾウ!あんた私みたいないい女の誘いを断っておいて、
何、野郎とご飯食べに来てんのよ。」
「あら、あんた振られた相手って、テンゾウだったの?」
横にいた、くの一お千がお宮に聞いた。
「そうよ〜。テンゾウこっち来て。せっかくだから一緒に食べましょ。」
二人は仕方なくお宮のいる席へと向かう。
「こんばんわ。久しぶりねカカシ。」
お千が、やや頬を赤らめてカカシに挨拶した。
「お千、駄目よカカシに惚れたって。カカシには付き合ってる人がいるんだから。」
「えっ?そうなの。」
お千はあからさまに残念そうな声を出した。
「ねえ?そうでしょ?テンゾウ。」
「ど・どうして僕に聞くんですか?」
テンゾウが、顔を覗き込まれたじろぐ。
「まあ、カカシなら許せるけどね、私。」
お宮はうふふと含み笑を浮かべて言った。
「さあ、せっかく会えたんだから楽しく飲んで食べましょ。
もちろんテンゾウの奢りで。」
そう言ってお宮は、今度は豪快に笑い、
テンゾウはこっそり財布の中を確かめる羽目になった。
戻る 続く