逢い見ての後の心にくらぶれば
【第六話】
テンゾウの家で夕食を終え、皿を洗うのを俺も手伝
おうと服の袖を捲ると、テンゾウが制した。
「ここはいいです。先輩、お風呂沸いてますから先に
どうぞ」
「シャワーは浴びてきたけど・・・」
「浸かると気持ちいいですよ。着替えは、前に来た時
に着てたもの洗ってありますから、それを」
「ああ・・・」
長くツーマンセルを組んできたテンゾウの家に来
るのは初めてではない。俺がチャクラ不足を起こし、
かといって入院するほどでもなくて、テンゾウの家で
2、3日世話になってた事だってある。
そうでなくても、時々一緒に飯を食って飲んでその
まま泊まり込むなんて事だって、普通にあった。
ただ、互いに告白しあった今は、何気ないいつもの
話にも妙な緊張が生まれてしまう。いや、緊張してる
のは俺だけかとふとテンゾウを見ると、耳まで赤くな
っていた。ちょっと笑ってしまう。
俺は少し気持ちに余裕が出来、促されるまま風呂に
行った。
俺が出るのと入れ違いにテンゾウが入る。風呂場の
テンゾウの気配を否が応でも意識しながら、ソファに
座っているとふと、視界にベッド入る。途端に気恥ず
かしが湧きおこる。
テンゾウが風呂から出てきた。俺は柄にもなく緊張
する。
テンゾウが俺の前に立ち、缶ビールを差し出した。
受け取り、一口飲むとテンゾウが俺の手から缶を取り、
自分も飲んだ。俺と目が合い、照れたようにテンゾウ
ははにかんだ笑顔を見せる。
「これ、間接キスですよね。こんな事も、出来たらい
いななんて、ずっと思ってました」
テンゾウは缶ビールをテーブルに置き、俺の手を掴
んだ。
「キス、してもいいですか?」
俺が肯くと同時に唇が覆われた。性急に舌を絡めら
緊張や気恥ずかしさなどを感じる余裕すら与えられ
ない。
気がつけばテンゾウの手は俺の服の下から差し込
まれ胸を触られる。乳首を摘まれ、俺の身体がビクッ
と反応する。それを機にテンゾウは一旦俺から離れ、
耳元で囁いた。
「あの、ベッドに行きましょう」
言うと同時に俺の腕を掴み、ベッドへと移動する。
そのまま俺達はもどかしげに互いに服を脱ぎ、再び俺
はテンゾウに愛撫される。
今まで女とする時は、当たりまえだが俺が能動的立
場だった。今はテンゾウにされるがまま、受け身にな
っている。このまま行くと、俺は必然的に抱かれる側
になるわけででも不思議ともうそれでもいいと、テン
ゾウと今こうして触れ合っている事実が大事で、どっ
ちの立場なんてものはどうでもいいような気がして
くる。
俺の中心を咥えられ、思わず声が出た。
「あっ・・・。ああ・・・」
恥ずかしさのあまり、手の甲を噛んだらテンゾウに
その腕を外される。
「声、押さえないで」
ちょっと生意気と思ったが、よく考えればこいつは
昔から生意気だった。まだ自分が未熟な時から、俺を
気遣い俺の気持ちを察して行動した。
抜け忍の村の懺滅作戦で、俺から無意識の意識を引
き出し泣きたい時は声をあげて泣くんだと言ったテ
ンゾウ。
テンゾウの指が俺の後を探り当て、ゼリーで濡らし
ながら解かしていく。
写輪眼のカカシも、木の葉の天才忍者と言われる俺
も確かに俺であるが、テンゾウの前では、ただの男だ。
「あああ!あ・・・くっ・・・」
「力を抜いて、深呼吸して、先輩・・・」
両足を開かれ、貫かれる。
「あ、ああ、・テンゾウ・・・テンゾウ・・・!」
恥ずかしさも微かな不安も、テンゾウの包むような
愛撫に打ち消され、俺はテンゾウに教えられた通り感
情のままに声を上げる。
揺さぶられ、押し広げられる苦痛に生理的な涙が溢
れてきても、その苦痛が快感への序章となる感覚に身
を委ね、取り繕うことなく有りのままの俺の姿を曝け
出せる安らぎを感じていた。