オーダースーツ 時計買取 C1インヒビター活性

宴の庭荘

 

 

<C1INH活性>その3

 

 

 乱暴ともいえるテンゾウの突き上げに、カカシ

はともすれば意識すら飛びそうになる。それでも

両腕を壁につき、必死でその甘美な責め苦に耐え

ていた。

 

 その動きを性急に加速したテンゾウは、やがて

カカシの奥に熱情を注ぐ。二人の息づかいが混じ

り合い、濃厚な情交の余韻が浴室内を支配する。

やがてテンゾウは支えていたカカシの腰から手を

離す。

 

カカシはがくがくとその場に沈み込んでしま

いそうになるが、テンゾウに腕を持たれて引きあ

げられる。

 

カカシを立たせると、テンゾウは自分が放った

熱情の処理を行い、無言のまま浴室を出ていく。

 

 カカシもまた無言でテンゾウの背中を眺める。

強引に抱かれた身体はまだその火照りを冷ませて

はいなかったが、頭はテンゾウの先程の言葉で

逆に冷静さを取り戻していた。

 

『セックス出来れば、いるか先生でも、波風教授

でも・・・』

 

 なるほど、と思う。テンゾウにおそらく見られ

たのだろう。先程の自分といるかがキスしている

場面を。感情のセキュリティーが甘いテンゾウに

は、刺激的な場面だったかもしれない。

 自分にすれば御礼代りの様なものだ。今日、自

分の患者の母親の急病に対処してくれた事に対し

て、しかしテンゾウはその事情を知らない。

 

 

 カカシが下着だけを身につけ、バスタオルを肩

からかけリビングへ行くと、すでにラフなスエッ

トに着替えたテンゾウがソファに座っていた。

 むすっと黙りこんで怒りのオーラを発している

テンゾウ。

 

カカシはことさら陽気に話しかける。

 

「何怒ってるの?」

 

 テンゾウと向き合うように、カカシはソファに

座るテンゾウの両肩に手を置き、その両足にまた

がった。

 

「何してるんですか?」

 

「座ってるんだけど」

 

「僕の脚は、椅子じゃありませんよ」

 

 カカシはテンゾウの言葉には答えず、口づけを

自分から仕掛ける。テンゾウの唇に触れ、自ら舌

を絡めた。

 

 しばしカカシ誘導の口づけに身を任せていたテ

ンゾウは、ふいに自分の両足に乗るカカシの腕を

とり、その身体をソファに押し倒す。そしてカカ

シの肩を押さえこむようにして真っ直ぐ見下ろす。

 

「何故、いるか先生とキスをしたんですか?」

 

「あ、やっぱり見てた?」

 

「僕がこの部屋の前の廊下を歩いていたら、タク

シーが止まりあなたが降りてきたので、何気に見

てました。そしたら・・・」

 

「俺がいるか先生に無理やりキスされてた、と」

 

「被害者みたいに言わないでください。柔道、空

手それぞれ段持ちのあなたが、抵抗出来ないわけ

ない」

 

「まあねえ。でも俺から望んだわけじゃないのは

事実だし」

 

 カカシの軽い口調にテンゾウは一呼吸置おき、

尋問を続ける。

 

「望んでは無いのに、抵抗もせずキスを受ける。

あなたといるか先生はどういう関係なんですか?」

 

「別に・・・ただの同僚」

 

「ただの同僚とキスします?」

 

「ちょっと今日、俺の患者の母親が世話になって

ね。それの御礼代わりというか・・・」

 

「礼代わりにキスするなんて習慣ありませんよ、

日本には」

 

 カカシはその言葉には返事をせず起き上がる。

次々とたたみかけて来るテンゾウの唇を押さえよ

うと、カカシは再びキスをしようとするが、テン

ゾウは身体を捩り拒む。

 

「いるか先生とは、どういう関係ですか?」

 

カカシに誤魔化されまいと、テンゾウは再度同

じ質問を繰り返す。

 

「だから、同僚だよ」

 

 カカシがふふというような妖艶さを纏う笑みを

浮かべて返事する。

自分の怒りと、それを軽く流そうとするカカシ

との感情の温度差にテンゾウは眩暈すら覚える。

 

「実は今日、帰り際に指にとげが刺さりまして」

 

テンゾウはふいに、今までの話と関係ない事を

言い始めた。

 

「でも別に痛くもなかったからゆっくり家で取ろ

うと、外来の処置室から針を少し貰って帰ったん

ですよ。アル綿も一緒にね」

 

 針という言葉にカカシはテンゾウの顔を見上げ

る。

 

「備品の持ち帰りは違反だそ・・・」

 

「ですね」

 

 テンゾウは、あっさりと非を認める。

 

「で、とげはもう抜いたんですが、針はまだ2

残ってて、ここへ着てきた上着に入ってます」

 

 テンゾウは立ちあがり、自分の上着のポケット

から針と、アルコール綿花の入った子袋を取りだ

し、上着と共に脱ぎ捨てていたネクタイも持って

カカシに近付く。

 

「24(ゲージ)です。あなたのキス現場を目の前で見さ

せられた僕に比べたら、耐えられない事はない細

さですよね」

 

 カカシはテンゾウの手に握られている針の袋を

見つめる。

 

「針の方が痛いでしょ、間違いなく」

 

「それはどうかな。僕は・・・足元から崩れそう

でしたよ」

 

テンゾウはカカシの背後に回り、その腕を後ろ

手に重ねてネクタイで縛り始めた。カカシは、逆

らうことなくされるがままでいる。

 

 カカシの腕を縛り終えてテンゾウはもう一度カ

カシの前に立つ。そしてカカシが肩から掛けてい

たバスタオルを取り去った。

 

後ろ手に腕を縛られ、均整のとれた上半身を晒

してソファに凭れるカカシの姿は、何度も何度も

見慣れているテンゾウの心をまた掴みとる。

この男は知っているのだろうと思う。自分の姿

がいかに魅力的に見る者を虜にするのかを。

 

 テンゾウはアルコール綿花を袋から取り出し、

カカシの右胸に張り付いている小さな突起を摘む

ように清拭する。

 

「あ・・・・・」

 

敏感な部分に冷たい綿花をあてられ、なおかつ

摘まれ、カカシは今から与えられる苦痛の準備と

いうのに、反応してしまう。

 

 テンゾウはもう一つアルコール綿花を取り出し、

左の突起も摘むように拭いて消毒する。

 

「・・・両方・・・刺すのか?」

 

「あなた次第。もう一度聞きますけど、いるか先

生とはどういう関係ですか?」

 

「ただの同僚」

 

「過去・・・関係があったという事も無いんです

か?」

 

「無い」

 

「じゃあ・・・ただの同僚とキスした事を、僕に

謝る気は?」

 

「それも無い。俺は礼代わりのつもりだから」

 

 テンゾウは針の子袋を破り、針を取りだすとそ

のキャップも外した。カカシに針を見せ、もう一

度問う。

 

「一言謝れば許しますよ、今夜は」

 

 カカシは少しの間自分の乳首を刺すかもしれな

い針先を見つめ、やがて黙って首を振った。謝る

気はないというふうに。

 

テンゾウは小さくため息をつき、腕を縛られる

事にも抵抗しなかったカカシが針という言葉を聞

いた時からこの苦痛を受け入れるつもりでいた事

に気づく。

 

 後戻りは無いのだ、本人がそれを望んでいるの

だから。

 

テンゾウは、アルコール綿花で包むようにカカ

シの乳首を固定しその突起に向かって右手に持つ

針を向けた。

 

 

その2  その4