自分の部屋に戻ったカカシは、人気のなかった部屋の寒さがこたえた。
テンゾウの部屋でシャワーは浴びていたので、借りたトレーナーのまま、ベッドに潜り込む。
シーツも冷たく、身体を丸める。
テンゾウの部屋が余りに居心地良くて、思わず帰ってしまった。
カカシは13歳から暗部にいるので、必然的に回りは年上ばかりだった。
ツーマンセルを組む相手で年下は、テンゾウが初めてだ。でも、どうも年下には見えない。落ち着き払って・・・。
任務もテンゾウは完璧だ。自分の思う意図を確実に読んで、的確に動いてくれる。
本人は顔に出ないだけで、いつも緊張してますなんて言ってたけど。
それに・・・と、カカシは思う。
恋してないことに気づいたので、彼女と別れたって言ってたけど、
普通、あの歳ならとりあえず女の子を側に置いておきたいんじゃないのかな、そんなとこも10代らしくない。
それとも誰か本当に好きな人が出来たのだろうか。
カカシはテンゾウに愛される人は幸せだろうと思う。
だって、テンゾウと一緒に過ごす空間は心地がいい。
少なくとも、自分は先輩としては、慕われているのだろう。
何かと気遣ってくれているのがわかる。
カカシもテンゾウの醸し出す優しい空間が好きだ。
テンゾウと一緒にいると、いつの間にか暖かい気持ちになる。ずっとその空間で過ごしたくなる。
しっかりしないといけない。テンゾウはただの後輩だ。
あいつには誰か好きな人も出来たんだろうに。
そう、自分にはもう特別はいらない。
特別に大切な人を失うのは辛すぎるから、もう、はじめからいらない。
カカシは中々温まらないベッドの中で、さらに身体をまるく縮めた。