翌日、カカシ隊はカカシの指示の元、精力的に準備を重ねた。
藤の国の軍幹部の説明と地図を元に、テンゾウと、テンゾウの木分身を斥候に出す。
今回のメンバーで、分身が出来るのは、カカシとテンゾウのみ。
カカシも影分身が出来るが、チャクラを消費する為、来るべき戦闘に備え、
斥候はテンゾウに任せた。
その間に、地形把握、野営地設定、周辺民家に避難指示。
斥候に出ていたテンゾウが帰還後は、その報告に基づいて、実戦の最終打ち合わせを行う。
木分身を使っても疲れを見せない豊富なチャクラを持ち、カカシの意図を的確に読み取り
必要な情報を全て得て、報告を行うテンゾウを、カカシはまぶしいような気持ちで見た。
テンゾウの報告から、反乱軍リーダーがいる本隊とみられる山が判明し、
明日、総攻撃をこちらから仕掛ける旨、藤の国国軍幹部に伝える。
「国軍は、藤の国周辺の警備に当たって下さい。攻撃から逃げ出した、反乱軍が来ないとは限らない。」
カカシの話しに、軍幹部は驚く。
「あなた方、8人で攻撃するのか?我々の兵士も一緒に。」
「忍は1人で、民間の訓練を受けた軍の分隊以上の働きをします。敵に悟られず、本隊まで近づくには8人の方がいい。」
カカシはきっぱり、軍の兵士派遣を断った。藤の国の軍は忍ではなかった。
敵が反乱軍だけの時は、それでも充分戦えたのであろうが、
抜け忍が傭兵として敵にいる場合、民間人では役立たない。
夕刻、カカシ隊が野営を張る地点に藤の国の兵士、20人の小隊が現れて、カカシは思わず顔をしかめた。
「何故、ここに?」
「はい、軍隊長に命令され、あなた方の援護に回るようにと。」
「断ったのに・・・。そんな大勢で移動しては、敵にこの場所を教えているようなもの。」
瞬間、カカシ以下木の葉の忍は、敵の気配を察知した。
「兵士を守れ!!」
カカシが叫ぶ。やはり、20人もの移動に気づき、敵に後をつけられていた。
総力戦になった。
用意周到にこちらから、攻撃を仕掛けるのとは違う。
何より、足手まといなのは軍隊長の命令でやってきた20人の兵士だった。
いっそ逃げてくれればいいのに、仮にも訓練を受けた彼らは戦おうとする。
カカシ達は彼らを守る事に気を使わねばならなかった。
敵も反乱軍及び、雇われ抜け忍達と入り混じって攻撃を仕掛けてくる。
目の前の対峙する敵だけでなく、藤の国の兵士達を気遣いながらの戦いは、
カカシ隊にも怪我人をだした。
ホンマツとシギが重症、アカメが中程度の怪我を負った。
カカシは無傷だったが、チャクラ消費が激しかった。
「大丈夫ですか?先輩。」
テンゾウがカカシの状態を心配する。
「うーん、俺は今のところ大丈夫。ただ、怪我したあいつらはこのままじゃ無理だね。」
カカシは、木の葉の里へ医療部隊派遣要請を決めた。
ホンマツとシギ、及びアカメの応急手当は藤の国の病院でしてもらったが、
ここでは、チャクラコントロールが必要な忍に対しての治療は不可能である。
伝鳥を飛ばし、同時に忍犬も木の葉へ走ってもらう。
伝鳥が着いて、医療部隊が編成された頃、忍犬も木の葉へ到着する。
忍犬には、医療部隊への藤の国までの最短距離の道案内をしてもらうつもりだった。
「悪いね、パックン。往復になるから、大変だと思うけど。」
カカシの済まなそうな顔に、
「ま、お前さんの頼みとあれば仕方ない。」
パックンはめんどくさそうな顔をしながらも、すぐに出立してくれた。
敵は、まだ、全滅には至っていなかった。テンゾウが斥候任務で確認した、
反乱軍リーダーも見つかっていない。向こうも相当の犠牲を出し、
おそらく最初に確認した本陣も、もう引き払って隊は移動してるいるだろう。
応急手当を済ませた3人の怪我人は、最初に泊まった宿に頼み、
5人で残りの反乱軍壊滅を目指す。
カカシは、軍にくれぐれも手を出さぬよういい含め、翌日から、再び敵の本隊を探す作業からはじめた。