ハセの、『カカシの管理責任』と言う言葉を聞いて、テンゾウの表情に困惑の色が浮かぶ。
カカシは、殺気の収まらないテンゾウに、少しおどけた様に話しかけた。
「テンゾウ、こんなのガキの遊びと一緒だよ。たいした事ない。
俺の、顔と手でいけるなんて、安上がりもいいとこ。」
カカシの嫌味を含めた言葉に、神経を逆なでされたハセが、テンゾウに向かって言った。
「そうだ、テンゾウ、怒ることじゃない。隊長はどうせ男に奉仕するのは慣れてるんだろう。
ガキの頃は4代目の慰み者だったって、もっぱらの噂だもんな。」
「一度聞きたかったよ。あれ、事実?」
と、カカシの方に向きなおす。
それまで、何を言われても、冷静さを保っていたカカシの顔色が変った。
「何だ、それ、・・・くだらない。」
声は低く、小さくつぶやくように言って、顔はまっすぐ上げたまま、下唇をかんだ。
ほんの一瞬、テンゾウは、カカシが泣くのではないかと思った。
「ほんとの事だろ。みんな言ってる。」
横から、ムロウが口をはさむ。
「そんなくだらない噂、信じてるのか?」
カカシがもう一度、口を開いた。
「噂って言うか、周知の事実っていうやつだろう。」
「あんた天才なんて言われる程、やたらと強いから、みんなは手が出せないけども、4代目なら、可能だったろうしねえ。」
ホンマツも口を出す。
「13,4歳で、男をくわえ込むんだから、そっちの方面も天才なんだな。」
テンゾウは、下世話な言葉の羅列に激しい怒りが更に起こったが、
その時は、カカシの様子の方が気になった。
カカシは下唇をかんだまま、無表情にじっと立っている。
「先輩。大丈夫ですか。」
テンゾウが、カカシに話しかけるのをさえぎるように、ハセがカカシとの間に割って入った。
「もう、話はいいぜ。約束を実行してもらおう。決めてたとおり、俺が一番でいいよな。」
ハセが周りの3人にむかって言った。
「ほら、ガキの遊び、しに行こうぜ。俺の部屋で。」
今度はカカシに向かってそう言ってから、チラッとテンゾウの方を見た。
テンゾウと目が合ってから、ハセはカカシの肩に手を回した。
刹那、テンゾウは術を発動し、4人の首に木遁術の枝を巻きつけ、締め上げた。
「テンゾウ!やめろ!やめろ!!!」
カカシに強く制止され、テンゾウは術を解除する。
首に巻きつけられていたものが、なくなり、4人は一斉に咳き込んだ。
「ゴホッ!ゴホッ!・・・テンゾウきさま・・ゴホッ仲間に向かって・・・。」
「手加減しただけ、ありがたく思え。」
テンゾウはそう吐き捨てて、術を押さえる為に、自分の腕をつかまえていたカカシの手を、逆につかまえて、
そのまま自分達の部屋へ歩きだした。