翌日カカシは、昨日テンゾウの家に来た式の集合時間より、早く火影に呼び出されていた。
「カカシ、国境警備でハセやムロウ達に苦労したのではないか?
ミトとカタシが心配しておった。お前とテンゾウが、自分たちの為に休暇を返上していると。」
「いえ、そういう事ではありません。」
自分達がハセ達4人組から嫌がらせを受けなくなった思ったら、
カカシチームが、休暇をハセ達と交代している事に気づいた、ミトとカタシは
直接カカシにも、自分達のためにハセ達と取引したのかと尋ねてきた。
カカシは関係ないと言ったが、納得できず、火影に報告したようだった。
「まあ、お前が判断した事は全面的に信頼しておるが、実は今回の、緊急の依頼内容だが。」
火影が、今回の緊急呼び出しについて話し始めた。依頼とは藤の国からで、
内乱が起き、反乱軍側が傭兵として各国の抜け忍を金で雇い入れた為、
当初、自国内で平定させようとしていたが、とても手に負えなくなくなり、力を貸して欲しいというものだった。
「藤の国は遠い。行くだけでも時間を要する。緊急の依頼だから、
他の予定に入ってるものは使えない、正規部隊もしかりだ、
何より、反乱軍漸滅のS級任務だ。誰でもこなせる依頼ではない。
休みなのに済まぬが、カカシ、分隊長として行ってくれ。それで、問題はメンバーだが。」
「今、予定が入ってないのは国境警備の任務明けの者だけという事ですね。」
「フォーマンセル2個小隊は必要だろう。実力のある者を選ぶとすれば、
やはりハセ達4人と、テンゾウ、それにコクブとシギ。」
「分かりました。」
「カカシ、大丈夫か?ハセ達は扱いにくいと思うが・・・。」
「ターゲットのある任務でしたら、奴らも気持ちがそちらに向かうでしょう。」
「やはり、色々苦労があったのだな。まあ、今回は緊急だ。済まぬが頼む。」
本来の集合時間になって、火影が名をあげた者が、集まってきた。
休暇を潰され、不機嫌さを面の上からでも表しているハセ達4人組も。
任務内容説明があらためて火影から行われた後、藤の国へ向かう。
藤の国までは数日かかる。一日目の夜営は川の側で行った。
カカシは岩陰で月明かりを頼りに、川の水でタオルを濡らし、汗を拭いていた。
「先輩。いますか?」
岩の向こうから、テンゾウが声をかけた。
「いるよ何?」
「ああ、すいません。ちょっと今後のルートの事で・・・」
話ながら、テンゾウが顔を出す。月明かりでもくっきり判る、白い肌の上半身をさらしたカカシが目に入った。
「す、すいません。」
思わず、目を逸らしてしまう。
カカシがくすっと笑った。
「何で謝るの?」
「いや、あの何となく・・・。あの、それで、ルートの事なんですが。」
テンゾウと、カカシは相談を始めた。
少し離れた場所から、ハセが二人の影を見つめていた。