「やー、隊長、加減はどう?」
ずかずかとハセとムロウは部屋の中に入ってきた。
「どうして・・・、木の葉に戻ったんじゃなかったのか?」
カカシは片膝ついて、身構えたまま聞いた。内心まずいと思う。
ただ、話をしに来たとは、もちろん思えない。
動けないこの状態は、かなりまずい。
「数時間前まで一緒に戦ってた仲間に、そんなに警戒しなくても。」
身構えてるカカシにそう言いながら、ムロウがカカシの後ろに、ハセがカカシの前にかがむ。
「用事は何だ?」
「まあ、親睦を深めにというか・・・。」
ハセがニヤニヤして答えた。
瞬間、カカシは瞬身の術を使ったが、チャクラ切れの状態で、
部屋の出口近くで、同じく瞬身の術を使ったハセに捕まえられた。
ハセよりは愚鈍なムロウも追いつき、カカシは後ろから羽交い締めにされる。
「離せ!」
残る力を振り絞ったが、ムロウは力が自慢の暗部だった。
「手、邪魔だ!」
暴れるカカシをムロウが押さえつけながら苛立って言う。
「そうだな。また、瞬身でも使われたら面倒だ。印、組めないよう折るか。」
ハセが事も無げに言った。
「口、押さえとけ。」
言われて、ムロウは後ろから羽交い締めにしたまま、
左手をカカシの顎と口元に持っていき、声が出せないよう押さえた。
前から、ハセがカカシの左手首を持って、自身のチャクラを溜め込んで、力を入れる。
ボキッと鈍い音がして、カカシの左手首の骨が砕かれた。
「うう・・・。」
口を押さえられて声は出ないが、激痛にうめき声が出る。
「右も折るか?」
ムロウがハセに聞く。
「両方折って気絶されたらつまらないだろ。寝てる奴に突っ込んでもな。
関節、外すだけにしよう。」
「よっしゃ。」
カカシを羽交い締めにしてるムロウが、左手でカカシの口元を押さえ込んだまま、
右手でカカシの上腕をねじり、肩関節を外した。
カカシは、一瞬頭が白くなった。砕かれた左手首と、
無理矢理外された右の肩関節から、激痛が走る。
口を顎ごと押さえられ声は出せないが、激痛で生理的に涙が出た。
「あーあ、泣いちゃった。悪かったな、痛い思いさせて。」
カカシと向き合っているハセが、ほんの少し穏やかな声になって言った。
「こうでもしないと、あんた俺らの事相手にしないだろ。」
元々、立つ事さえままならない状態で、痛みも加わり、カカシはずるずると足の力が抜けた。
ムロウに羽交い締めにされたまま、座り込んでしまう。
カカシと向き合っていたハセがカカシと同じく座り込み、クナイを手にする。
「じゃ、早速親睦深めようか、隊長。」
そう言って、カカシのアンダーシャツの首元にクナイを刺し、そのまま縦に、
シャツを引き裂いた。